涙も出るけど勇気も出る!
25歳女性起業家の号泣戦記

【プロローグ公開】山口絵理子『裸でも生きる』
山口 絵理子

数十分ほど走り、ようやくゲストハウスの名前が書かれたボロボロの看板が見えた。私はホッとして、いまにもリキシャからズルッと落ちそうになった。

するとリキシャ引きが言う。

「200タカ(約350円)」

「200タカ?」

たしかバングラデシュでは、一般市民の一回の食事が30タカ(50円程度)と聞いていた。

(200タカは高すぎなんじゃないの……⁉)

でも、もう戦う気力なんか残っちゃいない。

「ドンノバット(ありがとう)」

200タカ支払う私を、リキシャ引きは最後まで興味津々に見つめていた。

予約していたゲストハウスは、ダッカにしては小ぎれいだ。ドアを開けるとだれもいない。

「すみませーん! 予約した日本人です!」

だれも出てこない。宿泊客には申し訳ないが、私は大声で呼び続けた。

数十分後、浅黒いギョロ目の若い男性とライフル銃を持った警備員みたいな人が怖い顔で出てきた。

「やぁ。ごめんなさい、ごめんなさい。あなた日本人?」

彼は、かなり聞き取りづらい英語で私に話しかける。