「再発がん」からの生還
【特別インタビュー】なかにし礼

食道がんを克服して3年、再び病魔との闘いに挑む
週刊現代 プロフィール

担当の医師は、続けてこう説明しました。

「リンパ節のがんは、いまもどんどん成長していて、気管を圧迫しています。もしも、成長したがんが気管の壁膜を突き破る『穿破』という状態になればほとんど即死です。とにかく一日も早く入院して、すぐに手術する必要があります」

状況は、私の想像以上に切迫していたのです。

医師団と相談した結果、私の手術はまずは胸腔鏡でチャレンジすることになりました。医師は、患者の背中に開けた穴から先端にカメラの付いた内視鏡を差し込み、患部の状況をモニターに映し出します。それを確認しながら、さらに別の穴から特殊な手術機器を差し入れ、がんを取り除く、というものです。

過去に2度も心筋梗塞を患い、心筋の約半分が壊死した状態である私にとって、胸腔鏡手術は身体に負担の少ない手術法でした。これなら最短2時間で手術が終わると言われました。

問題は胸腔鏡でがんが取れなかった場合です。

「その時は開胸手術になります。手術時間は、場合によっては4時間を超えるかもしれません」

医師からはこう告げられました。医師の見立ては、私の心臓は4時間の開胸手術には耐えられるが5時間は無理だろう、というものでした。ということは、場合によっては手術中に命を落としてしまうかもしれない。否応なく死を意識させられました。

手術のスケジュールは2月25日に決まりました。その5日前の2月20日には、私がDJを務める文化放送ラジオ番組『明日への風』の収録があった。3月上旬に放送予定のこの番組で、がんの再発と番組の一時休止をリスナーに伝えることにしました。

「死に支度」をして入院

それから、携帯電話に残っているメールや写真をすべて削除しました。もしものことがあった場合、何かの拍子でこれらのメールや写真が他人の目に触れると迷惑をかける人が出てしまうかもしれないからです。

ラジオでの告白やメールと写真の消去は、いわば私の死に支度です。