最大手メディアから独立、第一人者が目指す新しい報道 「人材・お金・時間ない地方でもデータジャーナリズムはできる」

「LocalFocus」共同創業者に聞く
佐藤 慶一 プロフィール
公式サイトには主要メディアによる活用事例が並ぶ

データジャーナリストに求められる「好奇心」と「トライ&エラー」

Kamsma氏によれば、メディアのデータに対する姿勢は2つに分かれるという。ひとつはローカルメディアで、まずはデータを報道に活用したいという視点。もうひとつは新聞社や大手ニュースサイト。すでにデータジャーナリストを抱えており、政府や自治体のオープンデータを促すことに関心を寄せる姿勢だ。

後者に関して、イギリスに拠点を置くオープン・ナレッジが発表しているオープンデータ調査「GLOBAL OPEN DATA INDEX」(2014年版)によれば、オランダは16位(ちなみに日本は19位だ)。まだまだ十分ではない、とKamsma氏は言う。

「大手メディアは特に政府や警察からのデータを求めていますが、都合が悪ければ公開をためらいます。ローカルフォーカスでも政府・自治体とはオープンデータをめぐって"バトル"することがありますが、議論したうえで結果的に公開されることが多いです」

ただ、データが公開されても、使わないと意味がない。ローカルフォーカスはデータの使い手を増やすサービスだが、オランダではまだデータジャーナリズムに関心をもち実践している人は少ない。データジャーナリストの肩書きで活動するのは「10~20名くらい」(Kamsma氏)だそうだ。顔ぶれはお互いに知っているが、ミートアップなどもほとんどないという。

「データジャーナリズムの実践に向けてチームを組めるメディアはほとんどありません。一人がすべてやっているケースがほとんどです。それでも『コレスポンデント』には複数名のデータジャーナリストがいますし、全国紙『フォルクスクラント』ではデータジャーナリスト、プログラマー、デザイナー、FOI専門家などを集めたチームが組めていると聞きます。

ただ、大手メディアはスクープ報道に注力しているため、マインドがデータジャーナリズムのそれとは異なります。新しい事実やインサイトを浮かび上がらせるデータジャーナリズムには、データの意味を理解し、美しいグラフィックで表現するだけでなく、データのなかにこれまでに浮かび上がらなかったストーリーを見つけることが重要になるからです」

最後にデータジャーナリストになるための心構えを聞いた。「好奇心」と「トライ&エラー」の2点が大切だという。「データジャーナリズムはいわばパズルのようなもの。思ったような事実が浮かび上がらないことが圧倒的に少なく、そもそも必要なデータがないケースもあります。新しいインサイトを発見したとしても、どのようにストーリーとして伝えていくのか。それを何度も丁寧に考えないといけません。とても辛抱強さが求められる仕事だと思います」。

ローカルフォーカスでは、数ヵ月前にウェブサイトを英語対応し、国際展開を見据える(ただログイン後はまだオランダ語のようだ)。先進国や都市部の大手メディアだけがデータジャーナリズムを展開するだけでなく、田舎の小さなメディアでも先進国のメディアでも活用できる――。ローカル(メディア)に対する強い問題意識が、データジャーナリズムの浸透をさらにすすめる。


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