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『しんがり 山一證券最後の12人』名セリフ第1位!

「会社の不正に物分かりの良い人間になってたまるか!」
書籍編集者 A

会社の評価など……

嘉本がまだ二十代のころ、支店の仕切り販売に抵抗したことがある。仕切り販売とは、証券会社が投資家の注文なしに大量の株式を買っておいて、組織的に何人もの顧客にはめ込む違法な営業手法である。

よりわずかでも株価が上昇していれば「儲かる株がある」などと売り、すでに下落している株についても、知識の乏しい顧客に売りつけることがあった。

「客の委託もないのに、そんなことはやるべきじゃないです」。支店の会議で嘉本が頑強に反対しているうちに一人取り残され、間もなく左遷された。

別の支店では、組合活動に熱を入れていることを上司にとがめられ、「思想的に偏向している」と決めつけられたこともある。「お前をつぶすのはわけないことなんだぞ」と先輩に言われてもいた。

仲間と戦う、最後まで

しかし、会社の評価など、人生のある時期に、ある組織の、ある人たちによって下されたものに過ぎない。嘉本は頑なに信じていた。棺を閉じるまでの評価でもなければ、まして人格評価でもないはずだ。

八つの支店を転々としたのは、そうした考え方も災いしたのだろう。頻繁な転勤にともない、長男は幼稚園を二回、小学校を三回、中学校を二回替わった。