元暴力団担当刑事が分析!
「山口組分裂の行方」と警察当局の「対山口組戦略」

山口組が「最も恐れた相手」

また、離脱組の宅見組二代目組長の入江禎は長年、本部長として山口組の会計を預かってきたともされる。山口組本部の脱税問題に関する捜査対象になりうる。警察当局にとっては狙いどころに違いない。二つの山口組に加えて警察当局、いわば三つ巴の闘いが繰り広げられている。

そしてそんな警察のなかで、間違いなく山口組が最も恐れてきた相手が、大阪府警捜査四課や暴力団対策課のマル暴刑事たちである。

暴力団捜査において最も大事なのが、経済活動に関する情報収集であり、そこでは長年の経験と蓄積が欠かせない。山口組の捜査に取り組んできた猛者ぞろいの大阪府警の刑事たちが、まさに捜査の端緒をつかむべくフル活動している。

拙著『大阪府警暴力団担当刑事――捜査秘録を開封する』は、タイトルにある通り大阪府警のベテラン刑事たちの暴力団捜査ファイルだ。

六代目組長司忍を支えてきた若頭の髙山の恐喝事件から島田紳助を引退に追い込んだ山口組と芸能界との因縁、さらに司の親衛隊である弘道会のヒットマン部隊「十仁会」の暗躍なども記した。まさに絶妙のタイミングで文庫化されたように自負している。

(敬称略)

森功(もり・いさお)1961年、福岡県生まれ。出版社勤務などを経て、ノンフィクション作家に。08年、09年と2年連続で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を受賞。主な著書に、『許永中』『同和と銀行』『黒い看護婦』などがある