サラリーマンの胸に刺さる
『しんがり 山一證券最後の12人』名セリフ!

「言いたいことが言える人間じゃないとね」
書籍編集者 A

「自分はこの時のために会社にいたんだな」

長澤正夫が立った。彼はいつも、「健さんが僕に人生を教えてくれた。あの任俠映画に共感するんだよ」と言ってきたので、出席者は威勢の良い言葉を期待していた。

ところが、「恥ずかしながら、あの時まで自分の生き様や在り様に正面から向き合ったことがありませんでした」と話し始めたので、戦友会の座は再びしんみりとしてしまった。

「自分はこの時のためにいたんだな、と思いました。これが自分の人生なんだと感じています。会社人生の最後は一緒にやりたいと思っていた人達がしんがりにいました」
そういって会場を見まわした。

もし、山一が破綻していなければ、長澤は山一という小さな世界しか知らなかったことだろう。

――自分はきっと無批判、無自覚に会社人生を終わったのだ。恥多き人生の途中で、自分は貧乏くじを進んで引く人間を仲間に得た。

そして彼らに教えてもらった。

「それは、転じることを怖がらなくなったことだな。ここに集まった者はみんなそうだった」。長澤はそうつぶやいて、焼酎の水割りをぐっと飲み干した。

(『しんがり』エピローグ「君はまだ戦っているのか」より 一部を修整)