年間5万人 就職できない有名大学
「第3の入学組」の悲劇 AO入試合格組

大手企業人事担当者も要マーク
週刊現代 プロフィール

「自己推薦の形で入学しますから、自分を出すことはうまいが、嫌いなものや苦手なことと付き合えない。一度に多くの課題を出された時、優先順位をつけて全体を見ながら進めることができないのです。
  端的にいえば、段取りが悪く、独りよがりで根性がない。早慶レベルでもそれは同じ。そういう子たちが就職活動をしてもうまくいかないのは容易に推測できます」

質より数を求める大学

 ただでさえ、採用に慎重になっている企業側は、AO入試組への対応にも慎重を期している。そのため、各企業の採用担当者は大学だけでなく出身高校を必ず見るという。

「つまり受験の経験が重要視されるんです。基礎学力とラーニングアビリティの高さ、もう一つはストレス耐性があるか。メンタルな問題を抱える社員が増えていますが、その大きな理由は入社までストレスがない中でやってきたからです」
(大学への就職支援などを行うクオリティ・オブ・ライフ代表で、高知大学客員教授の原正紀氏)

 受験で鍛えられたストレス耐性が、AO入試組にはないというわけだ。実際の採用面接の現場では、AO入試をどう捉えているのか。大手家電メーカー人事担当者が明かす。

「弊社の新卒採用では、若い社員から始まり、役員まで4回面接を行いますが、話をしていてその学生がAO入試組かどうかは、言葉遣いや身振りで、なんとなくわかる。もちろん面接官が尋ねたり、会話の中で出ることもあります。5年前、弊社では『AO入試組は自分の武器を生かしている。
  企業も企業人として特徴のある優秀な人材を』ということになり、積極的に採用したのですが、これが失敗でした。彼らに共通しているのは人としての基本能力の欠如です。
  先日、ある商社の人事担当者とAO入試組の話になりました。その社員は学生時代、TOEICで900点を誇ったのですが、配属先の部長から文句が来た。『自分の言いたいことしか言わず、相手の話を聞かない。顧客とも社員とも協調しようとしない』と言ってきたそうです。このタイプは残業をしないし、会議でも自分の意見だけ言う」

 ここまで来れば、学生個人の資質だけの問題とは言いがたい。大手通信会社社員によると、企業の人事担当者に敬遠されている有名大学の学部があるという。

「この学部の学生たちは、成績は優秀なのですが、大学でずっとコンピュータだけと向き合っていたため、偏りすぎているんです。周囲と馴染めず、適応能力がない。調べてみると、この学部はAO入試の割合がかなり高かった。履歴書にこそ書かせませんが、『AO入試組はやっぱり使いづらい』と企業側が感じるようになっているんです」

 では、学生にとっても、企業にとってもいいところのないAO入試がここまで浸透したのはなぜなのか。