年間5万人 就職できない有名大学
「第3の入学組」の悲劇 AO入試合格組

大手企業人事担当者も要マーク
週刊現代 プロフィール

「私は英語を教えていますが、一回音読を聞いたら、その学生がAO入試か、一般入試かすぐわかります。AO入試組はローマ字さえ読めない学生もいますから。第2外国語なんてなおさら無理。神奈川の名門公立校から入ったある学生は、中学レベルの英単語すら知りませんでしたね。呆気(あっけ)にとられましたよ。
  彼らは知らないことが恥ずかしいと思わない。どの先生も今の学生は『無反応だ』と言います。10年前とは学生の質がまるで違う。やはり、AO入試があるかないかの違いが大きいですよ」

「独りよがりの根性なし」

 当事者である大学側は、AO入試についてどう考えているのか。法政大学入学センターに聞いた。

「ウチは自己推薦という形ですが、学力が整ったうえで応募してくるというのもなかなか難しい。志望書ではそつなく書くのですが、とってみたいという生徒はそう多くないという話を面接官から聞いたことがあります。ただ、学部にマッチして活き活きとやっている学生もいますので、大事な入学経路ではあると思っています」

 と、AO入試のデメリットも認識している。この状況に一足早く手を打ったのは国立大学だ。九州大学法学部や筑波大学国際総合学類、一橋大学などはAO入試を廃止、または縮小している。九大は'00年、国公立では初めてAO入試を導入し、最も力を入れていた大学の一つだった。

「九大法学部は入学後の学生の追跡調査をするなどして、意図していた生徒がとれているかを検証していると思います。それを踏まえての廃止でしょう」
(河合塾教育情報部.富沢弘和氏)

 筑波大学アドミッションセンターは、国際総合学類のAO(筑波ではACと呼ばれる)入試廃止の経緯についてこう答える。

「最初の頃は特異な経歴や独特のユーモアを持った学生が入ってきたのですが、徐々に普通入試の学生と変わらない志願者が増えました。逆に言えば、普通入試でもウチの求める人物像を理解した人が増えたということです」

 一般入試で合格した学生は、一つの壁を越えた経験を持っている。あるいは、浪人の経験で挫折も味わっている。ところが、AO入試組は一部を除き、挫折も大きな成功体験もないまま合格し、大学生活を送るわけだ。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、AO入試組は就職活動において打たれ弱い傾向があると話す。

「僕の取材経験で言うと、march(明治、青山学院、立教、中央、法政)のAO入試組が最も打たれ弱い。大学の名前と学生本人の乖離(かいり)に気付かないまま就活に臨むため、面接官の何気ない問いかけに過剰に反応して圧迫面接だと感じてしまう人もいます」

 全国学力研究会理事長.河本敏浩氏がAO入試組に共通する特徴を話す。