ホセ・ムヒカはウルグアイの母子家庭で極貧のなか育った。左派ゲリラの一員として山中を転戦し、仲間を相次いで失う。自らも6 発の銃弾を受け、生死の境をさまよった。4 回投獄され、うち2 回は脱獄。出所後は政治家を志し、議員として精力的に国中を回って国民の声に耳を傾ける。ついには大統領に就任。5 年の任期をまっとうした。
本書ではこの人物――リオ会議で資本主義の強欲を糾弾し、「世界でいちばん貧しい大統領」として有名になったムヒカの実像を、ジャーナリストが長期取材して紹介している。
ムヒカはかつて自分を弾圧し貶めた人々を恨んでいないという。彼は何度も「許すこと」の重要性を語る。過去を乗り越える姿勢を貫くことで、国内外の人々を巻き込んで社会を改革できると確信しているからだ。