御嶽山はなぜ噴火警戒レベル1だったのに噴火したか

火山国で暮らす私たちが知っておきたいこと(5)
日本火山学会


【Q115】 噴火から次の噴火までに時間がかかる火山と、そうでない火山とがあります。その間隔から噴火を予測できるのですか?

――A たとえば有珠山と三宅島は、噴火と噴火の間がそれぞれ30年ぐらいから20年ぐらいと、比較的短い火山です。このため、現在までに何回も噴火が観測された経験があります。それらの記録に基づいて、次の噴火がいつ来るのか、おおよその目安をつけることができます。実際に有珠山や三宅島では、地震や地殻変動の観測が強化されていました。

一般に噴火が起こるのは、マグマの供給と、マグマに働く力の関係でいうと、主に次の3つが原因となります。

(1)マグマ溜まりの中には、もっと深いところから絶えず少しずつマグマが供給される。マグマの圧力が高まり、耐えきれなくなったところで、地表に達する通り道をつくって噴火する。
(2)マグマ溜まりの中のマグマが過剰にならなくても、広い範囲にわたる地殻変動など火山活動以外の理由によって、マグマ溜まりにかかる力が増して、しぼりだされて噴火にいたる。
(3)火山活動以外の理由によって、逆にマグマの通り道にかかる力が弱くなり、マグマが容易に上昇できるようになって噴火にいたる。

(1)のようなしくみが続いていて、しかも時間あたりのマグマの供給量が一定ならば、噴火が同じような間隔をおいて起こることは理解しやすいと思います。

たとえば、有珠山の噴火を考えてみましょう。仮に、最近の有珠山のマグマ供給量自体が増加して、(1)のしくみで噴火にいたったとすれば、噴火の規模(噴火にかかわるマグマの量)は特別に小さくはないと考えられます。

また、(2)または(3)の理由で噴火して、マグマの供給量が一定な場合、前の噴火以降、マグマ溜まりの中に蓄えられていたマグマの量は少ないと考えられるので、全体としてやや小規模な噴火で終わる可能性もあります。

ただ、噴火の間隔の規則性については、残念ながら現在、そのしくみを十分に説明できているわけではありません。

【→第6回

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