いま日本の火山はどうなっているか
〜東日本大震災と火山活動活発化の関係は?

火山国で暮らす私たちが知っておきたいこと(1)
日本火山学会

マントルから上昇したマグマが地表に噴き出すには、マグマの中に溶け込んでいたガス成分が発泡する必要があります。そこで地震と噴火との物理的な関係としては、次の二つが考えられます。

(1)火山の地下のマグマ溜まりを、地震波が通過することによって、つまり揺さぶられることによって発泡が促進される。
(2)地震発生後の広域応力の変化によって、同じくマグマの発泡が促進される。

これらによって、噴火が起こる可能性があります。

しかし(1)については、マグマ溜まりを地震波が通過する時間は短い(マグマが数キロメートルのサイズでも数秒)こともあり、震源が遠い地震波の通過に伴う内部の圧力変化は、それほど大きくないので、マグマが特殊な状態にない限り、噴火にいたるのは無理ではないかと考えられます。

(2)でいう応力とは、プレートの運動などにより断層の周辺に蓄積したひずみに比例した力のことです。地震が発生して、断層が動き、溜まっていたひずみがゼロになると、これを「応力が解放された」といいます。

震源では断層にズレが生じます。地震波はひずみと応力変化を伝える現象ですから、地震波が通過すると、応力やひずみの変化も観測されます。

しかし、震源近傍ならともかく、数百キロメートルも離れた場所では、同じ震源から出た地震波に比べて、応力変化は圧倒的に小さくなります。応力変化は、震源からの距離の二乗に反比例して小さくなり、地震波の振幅は距離に反比例して小さくなるからです

たとえば、マグマ溜まりと断層の距離が100であったとすると、地震波の振幅は100分の1になるのに対して、断層のズレはその二乗で1万分の1となり、圧倒的に断層のズレは小さくなるのです。たとえば、淡路島を震源とする地震波は、名古屋でも十分に観測されますが、その地震で淡路島にできた断層のズレを名古屋で計測するのは、無理だというわけです。

実際に、阿蘇山の活動火口近傍で発破をかけても、火山活動はおろか、火山性微動にも目立った変化は現れませんでした。このことからも、(2)の可能性はあまり高くありません

ただし、私たちが想像もできないような別の「何か」が、地震と火山噴火を結びつけているかもしれません。

【→第2回

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