3分でわかる「郵政上場」~歴史上類をみない親子上場と、そのインパクトについて

何がすごくて、何が問題なのか
田中 博文 プロフィール

元東証会長の「理解に苦しむ提案」

また、2009年12月の当時の東京証券取引所グループの斉藤惇社長は、ブルームバーグのインタビューに対して、強制的な措置は考えていないと言ったうえで、

「子会社の犠牲の上に親会社が利益を上げるケースもあれば、その逆も起こる可能性がある。(親会社が取締役の派遣などを通じて子会社の経営を握ることで、利益相反を引き起こす可能性があることから)親会社が上場子会社を吸収合併して連結対象とすることを推奨したい」

と話しています。

それ以降、取引所からの親子上場に関する方針、コメントは発表されていませんが、実際には親子上場企業数は 2006 年度末の417 社をピークに減少が続いており、現在東証では322社の親子上場件数(2014年4月東証資料)となっています。

減少の主な理由は親会社による子会社の完全子会社化です。いわゆる、ガバナンスも利益も全て親会社が吸収するという極めてシンプルな構図に戻りつつある中で、東証会長でもあった西室社長が自ら親子上場を提案するのは、なかなか理解に苦しむところではあります。

もっとも、一昨年、東証が「子会社上場は望ましくない」とのコメントを出しながらも、現状各取引所の新規上場規則で子会社の上場が認められている以上は、上場したいと言っているのを断ることはできません。だからこそ、しっかりとした判断を行ってほしいと思っています。

東証一部への直接上場の規則では、流通株式比率、いわゆる財務省でない外部株主比率が35%以上必要となっており、通常であれば、ゆうちょ銀行、かんぽ生命ともに時価総額の35%以上をマーケットで売り出す必要があるわけですが、今期第一四半期のゆうちょ銀行の簿価純資産が約11兆円、かんぽ生命の簿価純資産が約2兆円ある中で、その35%となると4.5兆円を市場でファイナンスしなければなりません。

しかし、東証一部の日々の売買代金が2兆円から3兆円である中、日本郵政グループのファイナンスだけで、4.5兆円を消化することなど、ほぼ不可能に近く、どうも東証としては、本件に限っては流通株式比率を規則変更して、もっと小規模なファイナンスでも可能とする様な観測記事が書かれています。

そのあたりも含めて異例尽くめの日本郵政上場ですが、次回は上場承認後に、そのファイナンス分析を行ってみたいと思います。


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