【沿線革命058】JR連続不審火事件に、直下型地震のリスク……「防災の日」にあらためて鉄道の安全対策を考えよう

阿部 等

30年前の国電同時多発ゲリラ事件

1985(昭和60)年11月の初電前、首都圏と大阪地区その他の国鉄及び西武鉄道の計22線区の通信・信号用ケーブルが33箇所で切断され、総武線の浅草橋駅は襲撃を受け放火された。被害を受けた各線は夕方まで運休となり、1000万人以上へ影響した。

実施されようとしていた国鉄分割民営化に反対する団体による犯行で、犯人グループには国鉄職員も含まれていた。内部事情を知る者が、列車に大きな影響を与えるのに、通信・信号ケーブルを切断するのが最も簡単かつ効果的だと判断したのだろう。

当時私は大学院生で、学外の交通関係の様々なシンポやフォーラムに積極的に参加しており、この日も自宅の蒲田から大手町の会場へ行く予定だった。京浜東北線が不通で京浜急行の駅へ行ったところ、大変な人だかりで乗るのを諦め、第一京浜国道を都心に向けて歩いた。

国鉄が止まってマイカーで出掛けた人は数知れず、道路は大渋滞。京浜急行も数珠繋ぎ状態で、早歩きと京浜急行と道路(マイカー・路線バス・タクシーとも)と、ちょうど同じくらいの移動速度だった。

結局、三田まで約10kmを2時間くらいで歩き、都営三田線の当時は始発だった三田駅から乗って大手町に辿り着いた。

後日、友人から「蒲田から東急池上線で五反田に出て、都営浅草線に乗り換えれば良かったのに」と言われ、確かにそうだった。

鉄道に詳しいつもりでも、便利な迂回ルートに意外と気付かない場合がある。読者の皆様も、路線図やルート検索アプリを見て、意外と便利な迂回ルートを見つけて欲しい。

今回の不審火の連続で私はこの事件を思い出し、テレビ局で20人くらいの皆様にお話したところ、一人もこの事件のことを知らず驚いた。事件や事故の風化はいとも簡単に進むものだ。

外からの人為的な攻撃に備える

【沿線革命】では、鉄道テロ対策に関して今までに3回書いた。

【049】東海道新幹線 焼身自殺による火災事故 鉄道テロ対策が急務だ!(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44005
 ・東海道新幹線の焼身自殺では、安全対策が奏功して被害は最小で済んだ
 ・鉄道テロ対策として、全乗客への荷物検査は費用対効果が低い
 ・国交省鉄道局は2001年の米9.11テロ以来、鉄道テロ対策を検討してきた
 ・不審者検知・追跡、生物剤・化学剤検知、爆発物検知のシステムがある
 ・駅構内と列車内に不審者検知・追跡システムを導入すべき
 ・荷物置き去りや挙動不審を検知・追跡し必要により係員が現場へ急行する

【050】鉄道テロ対策は、手荷物検査より不審者検知・追跡システムを!(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44099
 ・新幹線に手荷物検査を導入すると500~1000円の値上げとなる
 ・運良く大惨事にならずに済んだ経験を踏まえ、鉄道テロ対策を構築すべき
 ・手荷物検査も警備員の増員も、高コストな上に鉄道テロ対策として不備
 ・人手とハイテクを連携させた不審者検知・追跡システムでの警備がお奨め
 ・忘れ物お知らせや車内迷惑行為防止等のハイテク「おもてなし」も可能に
 ・本提案は日本が得意の施術力と人間力による世界に誇れる仕組みとなる

【053】もう遅延はゴメンだ「線路に人立入」と「ダイヤの乱れ」はこうして防げる(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44443
 ・非常停止ボタンの利用奨励により「線路に人立入」での運転中止が増えた
 ・運転再開時は、安全側、安全側の判断となり時間を要する
 ・緊急停止すべき時に押す非常停止ボタンと他の手段を並列さすべき
 ・不審者検知・追跡システムを駅構内と列車内の他に線路上にも設備すべき
 ・線路内への立入と退出を検知でき、停止は最小化、再開は最短化できる
 ・運転見合わせの減少とテロ対策からして投資効果は十分にある