韓国と北朝鮮は一体何がしたかったのか?〜一触即発の軍事的緊張からすぐに収束

朝鮮半島が緊張と緩和を繰り返す理由
宮本 悟

次、無事におさまるとは限らない

このような南北朝鮮の軍事的緊張は、今に始まったことではない。1953年に朝鮮戦争が停戦してからも、南北朝鮮の間で小さな軍事衝突は繰り返されてきたことは周知の事実だ。

去年の10月10日にも、北朝鮮を批判するビラを韓国の市民団体が軍事境界線付近で風船につけて飛ばしたところ、北朝鮮側から風船に射撃を行ったため、その銃弾が韓国側に着弾したことがある。

また、2010年11月23日には、延坪島における韓国軍の砲撃訓練に対して、北朝鮮が延坪島を砲撃したため、南北朝鮮が砲撃しあって、韓国側に4名の死者が出た延坪島砲撃事件があった。

南北朝鮮では、多くの場合、軍事的緊張はお互いに批判しあって終わる、ということが多い。場合によっては軍事衝突にもなる。それと比較すれば、今回は、南北高官会議によって協議し、合意事項を玉虫色にして、「お互いに批判しないこと」を選択した。いったんの決着がついた事例である。この決着の仕方は、評価すべきだろう。

しかし、南北朝鮮が「囚人のジレンマ」に陥っていることに変わりはない。何かのきっかけで軍事的緊張が再び高まることは十分に想定される。それが、今回のように合意に至ればいいが、いつもいつも軍事的緊張が緩和されるとは限らないのである。それが南北問題最大の恐ろしさだ。

宮本悟 聖学院大学特任教授 1970年生まれ。1992年、同志社大学法学部卒。1999年、ソウル大学政治学科修士課程修了〔政治学修士 号〕。2005年、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。2006年から日本国際問題研究所研究員。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?』がある


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