発行部数という「魔物」に取り憑かれた大手新聞社の「暗部」を暴く

幸田 泉

新聞存続の危機

私は新聞というメディアは必要だと思っている。紙に印刷して配達する形態から、パソコンやスマートフォンで配信するデジタルニュースに移行したとしても、新聞が提供する情報と見識は消えてほしくない。

だからこそ、あまりにも特殊で歪んだ商売のやり方が、新聞の存続を危うくするのではと危惧するのだ。

これが『小説 新聞社販売局』を執筆する動機だった。周囲からは「新聞業界内部の話なんて関心を持たれるわけがない」という意見もあった。しかし、どうしても自分の手で書いた文章で世に問うてみたいという気持ちが、深夜まで私をパソコンの前に座らせた。

記者をしていた時、記事に対して読者から多くの声を頂いた。賞賛や共感もあれば、批判や反論もあった。いずれも新聞を熱心に読んでいる人々からの貴重な意見だった。

新聞を愛する人に、この小説を読んでほしいと心から願う。

読書人の雑誌『本』10月号より先行公開

幸田 泉(こうだ いずみ) 元全国紙社会部記者。大学卒業後、1989年某全国紙に入社。支局勤務後、大阪本社社会部では大阪府警、大阪地検、大阪地高裁、東京本社社会部では警察庁などを担当。その後、大阪本社社会部デスク、同販売局などを経て、2014年退社