なぜ日本北端の町の地価が、下げ止まったのか?
~「下川モデル」が過疎化解消のモデルとなる!

【物件選びの知恵019】
長嶋 修 プロフィール

理想的な地方創生モデルに

キーになるのは2004年、北海道で初めて導入された「木質バイオマスボイラー」。残材や流木、端材などを集め、木質バイオマスボイラーを活用、公共温泉や幼児センター、育苗施設、役場周辺施設、高齢者複合施設等など公共施設の熱エネルギーの約40パーセントをまかなっている。

年間の最高気温が約 30℃、最低気温は約-30℃と年間の温度差が 60℃以上にもなる下川町では年間1,600万円もの燃料費削減に成功、その半分を幼児センターの保育料減額や、学校給食の補助、中学生まで医療費無料化、不妊治療費補助など、子育て支援事業に充てるなど、住民福祉を充実。UターンやIターンで移り住む若者も後を絶たず、ついに2012年度には転入者が転出者を上まわり、人口減少に歯止めがかかった。

世界に冠たる森林資源大国であるにもかかわらず、他国に比して木材自給率が低いうえ、エネルギー供給の点においても地域資源の活用が遅れ、資金や人口流出が続く地域が多い中、町外に流出していたマネー流入を止めると同時に雇用を生み、そのマネーは町内で子育て支援に回すことで担税力のある若年世帯を集めるといった、理想的なスタイルだ。

「下川町バイオマス産業都市構想」によると、今後同町は域内生産額や雇用を増加させながら域内収支改善を目指し、2013年に1,600万円だった削減額を2023年には5,800万円とし、うち約2分の1を子育て支援等事業の財源にあてるとしている。そうなればますます若者は集まり、子育てしやすい環境が整う。

「植林50ha×伐採60年を繰り返す循環型森林経営の構築」や「国際規格による森林管理(FSC認証)を町有林に取得」など森林整備・経営の観点から先駆的な取り組みが評価され、2008年「環境モデル都市」にも認定されるなど、その取り組みは業界でも注目されてきたが、ここに来て地価に変化が生じた。今後は地価上昇地点も出てくるだろう。

「山村振興法」に基づく「振興山村」は、全国市町村数の約40パーセントにあたる734市町村(2013年4月現在)ある。国土面積でいえば50パーセント、森林面積の60パーセントを占めてる。「下川モデル」が順次全国に波及すれば、都心部・都市部の人口一極集中や地方の過疎化を解消する理想的な地方創成モデルの一つとなろう。

不動産コンサルタント 長嶋 修(ながしま おさむ)  

1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、『不動産の達人 株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。また自身の個人事務所(長嶋修事務所)でTV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及する。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)他、著書多数。http://nagashima.in/


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