貧しさゆえに娘を殺したシングルマザーの慟哭〜銚子市・女子殺害事件の真相

フライデー プロフィール

聞き取りを十分にしなかったにもかかわらず、面接結果では『申請意思は無し』とされている。松谷さんは、生活に困っているからこそ相談に来た。行政はその意図をまったく汲み取らず、制度の説明をしただけで松谷さんを帰してしまったのです」(この事件について調査を行った、千葉県議の丸山慎一氏)

仮にこのとき、生活保護の受給が認められていれば、家賃の支払いを免除されたうえ、少なくとも月十数万円の援助が受けられていたことになる。

行政の対応に、問題はなかったのだろうか。銚子市役所の社会福祉課担当者は本誌の取材にこう答える。

「松谷さんは生活保護制度の説明を受け、『後ほど何かありましたら来ます』と言ってその場では生活保護の申請をされませんでした。こちらとしても、松谷さんはあくまで保険年金課に保険証の相談をしに来たという話でしたので、生活状況などの詳細は把握しておりませんでした」

そして最悪の決断を下した

丸山県議は、松谷被告の家賃滞納についても、県の対応に問題があったのではないかと指摘する。

「松谷被告の経済状態ならば、家賃の8割は、減免措置を受けられていた可能性が高い。8割減免が適用されれば、月に2560円で済んでいました。ところが、生活保護と同様、行政から減免措置制度の説明を何も受けてはいませんでした。

松谷被告は滞納していても、少しずつ家賃を払い続けていました。不定期ながらも家賃を払う意思があったにもかかわらず、強制退去が命じられたんです。あまりにも機械的な対応で、もっと内実に踏み込んだ対応をしていれば、結果は変わっていたでしょう」

県営住宅を追い出されれば、明日からは母子二人、住むところもない。娘にホームレスの苦しみを味わわせるくらいなら、いっそ――。追い詰められた松谷被告は、娘を手にかけるという「最悪の決断」をくだしてしまった。

その罪は重い。しかし、足跡をたどって行くと、どこかで彼女たちを救う機会があったのではないか、と思えてならない。 「母親が悪い」「これは特殊なケースだ」と、切り捨てることは簡単だ。だが、それでいいのだろうか。