貧しさゆえに娘を殺したシングルマザーの慟哭〜銚子市・女子殺害事件の真相

フライデー プロフィール

貧しさの中にあっても、娘には苦労をさせたくない、という気持ちがあったのだろう、事実、松谷被告は警察の取り調べに対し、

「母子家庭だからという理由で特別視されないよう、可純にはできる限り不自由な思いはさせないようにした」

と供述している。その一方で、松谷被告自身の身なりは地味だった。

「首元が伸びたようなTシャツを着ていて、ノーメイクでした。月に一度の団地内掃除もほぼ毎回参加していて、マジメに取り組んでくれましたよ。威勢よく笑う、元気のいい方でした」(県営住宅に住む別の住人)

少ない収入をやりくりして、可純さんに衣類を買い与えていた松谷被告。加えて、被告は’02年に離婚した元夫が作った借金も抱えていた。その借金を返すため、北海道の実家の土地を両親に無断で担保に入れたことで、実家とも絶縁状態だった。

「ヤミ金」と家賃滞納

松谷被告は、複数の友人から数万円単位でカネを借りていたが、それでもクビが回らなかった。’12年の4月以降は、ヤミ金融からもカネを借りていたという。’13年の春に可純さんが中学校に入学する際には、制服や体操着を購入するカネがなく、ヤミ金融からさらに7万円を借り入れた。

家賃滞納が目立ち始めたのは、可純さんが中学校に入学した直後の、12年5月ごろからだったという。

家賃の滞納が続いたため、千葉県は’13年の3月に、松谷被告に向けて県営住宅の明け渡し請求をし、入居許可の取り消しに踏み切った。それでも家賃滞納は解消されず、同年7月には明け渡しの訴訟を起こしている。訴訟は県が勝訴し、’14年8月には強制執行が決まった。

見落としてはならないのは、’13年4月5日に、金策に窮した松谷被告が銚子市役所に相談に赴いたことだ。その経緯について、松谷被告の国選弁護人を務める野原郭利(ひろとし)弁護士が説明する。

「松谷被告は国民健康保険料未納で、保険証が使用できない状態でした。病院で診察を受けるため保険証が必要となり、銚子市役所へ相談に行ったんです。保険料すら払えない松谷被告に対し、保険年金課の職員が生活保護を管轄する社会福祉課を紹介した」

だが、松谷被告は、生活保護制度について、窓口で十分な説明を受けられなかったという。

「当日の面接記録を見れば、社会福祉課は松谷さんから具体的な聞き取りをしていないことが分かります。『扶養義務者の状況』や『収入状況』、『勤労収入』など、生活保護の受給に必要な要件について、何も聴取していないんです。