急増中! 妻に先立たれて「家計崩壊」
〜年金は半分に! でも、出て行くカネはむしろ増える

週刊現代 プロフィール

「妻のパート代」のありがたみ

「スーパーで買う食材なんかは、二人でも独りでも結局、合計金額は大して変わりません。青物は食べきれないと腐ってしまうので、ピーマンや玉ねぎをバラで買ったり、大根もカットしたものを買ってしまう。生の肉や魚も食べきれないので、便利な加工食品を選んでしまう。でもバラ売りや加工食品は、当然ながら単価が高い。おまけに1リットルの醤油のパックが流しの下にあるのに気付かず、小分けで売っている卓上用を買ったりとドジを踏むので、節約なんかできやしない」(太田さん)

何もかも面倒になり、トマトときゅうりと目玉焼きばかり食べていた時期もあった。

「でもご近所さんに、『あんた最近、幽霊みたいだけど大丈夫か』と言われて、初めて娘に泣きついた。いまは週に一度、娘に来てもらって料理指南を受けています。娘が買い出しのときカネを足してくれているのは分かっているけれども、お互い口にはしません。私の最後の自尊心を守ってくれている。武士の情けですよ……」(太田さん)

こんな証言もある。記事冒頭に登場した73歳の高木さんは、都内の機械部品メーカーで営業職を務めていた。一昨年亡くなった2歳年下の妻は専業主婦だったが、20年ほど前から、近所のスーパーで、パートタイムで働いていた。

「私が現役だった間は、『ありゃ女房の小遣い稼ぎだ』と軽んじるようなところもあったね。だけどアイツが逝ってみて、パートがほんとうに日々の家計を助けてくれていたのがよく分かった」

高木さんの妻が、狭心症が悪化して体調を崩すまでパートで得ていた収入は平均月6万円ほど。亡くなったいまは、5万円の基礎年金も入らなくなった。高木さんの年金は、基礎年金が月6万円、厚生年金が月11万円だ。

「生涯現役の時代だなんて言うけど、私みたいに、特別なスキルもない70過ぎたジイさんができる仕事なんて、滅多にない。アイツは長いことパート先でうまくやっていたから、70近くまで使ってもらえた。私がこれから頑張ったって、そう収入が増える見込みはないね」

だが、高木さんもまた独りになって、むしろ支出が増えたと話す。

「アイツがいなくなって、毎日口喧嘩する相手もいやしない。こちとら会社通いに慣れているのに、毎日することもない。特別、楽しいなんて思わなくても、パチンコ行ったり、居酒屋行ったり、何だかんだで、手持ちのカネは消えちまう。結局、あんなうるさい女房でも、いてくれたほうがありがたかったんだなぁ……」

妻を亡くし、家計崩壊の瀬戸際に追い込まれる夫たち。後篇ではさらに、その切実な生活事情を見ていこう。

後篇はこちら→

「週刊現代」2015年8月29日号より


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