前代未聞! スター・ウォーズと浮世絵のプロジェクトがすごい 
先行発売で想定の900%超えを記録

佐藤 慶一 プロフィール
© & TM Lucasfilm Ltd.

1枚の浮世絵が完成するまで2ヵ月近くかかる

スター・ウォーズと浮世絵を掛け合わせるのは、絵師、彫師、摺師、和紙などの熟練の職人たち。当初はすでにあるスター・ウォーズの表現を浮世絵にしようと考えていたが、「やったとしても同じものにしかならないよ」との職人からの返事。そこでオリジナルなものをつくる方向に舵をきった。

今回は3種類の浮世絵を制作。場面の選定は絵師の石川真澄さんから提案を受けて、選定・決定した。それでも、職人たちは日本文化の浮世絵と西洋絵画の表現の違いに苦労したのだという。

「彫師さんと摺師さんに関しては、伝統的な技術と浮世絵の本質からはずれないためのライン決めに苦労されていたようです。本来であれば線を入れるところを入れなかったりと、せめぎあいがありました。『惑星補巣の戦い』という作品(写真中央)では、ぼかし摺りを多用したため、近しいけど違う色数が増えて大変だったと思います。これが実現できたのは、職人さんの力量があったからこそでした」(奥田さん)

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現在は試し摺りの段階で、奥田さんもまだ完成版は見ていないという。「熟練の職人さんに『まだまだよくなります』と言われるとテンション上がりますね。ただ、一度に作れないものですし、3種類あるので少し時間がかかります。11月中に届けられる予定です」(奥田さん)。

1つの作品を制作するために、30枚以上の木版を用いる。これだけの枚数を部分分けして彫るにも1ヵ月近くかかる。さらに摺りではその版を用いて1枚1枚を摺り上げることで、違う部分を浮き出していく。それだけ工数がかかる浮世絵。1日に多くても版2~3枚分しか摺れないという。摺る作業は版を湿らす時間や紙を乾燥させる時間も必要になるためだ。1枚の浮世絵が完成するまでに、1~2ヵ月ほどの時間を要する。

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奥田さんがクラウドファンディングの利用を決めたのは、共感者が支援者でもあり、ものづくりにとって新しい仕組みだと感じたからだ。「若いユーザーさんがいる印象」からMakuakeを選んだ。内容を考えると、海外でも人気になりそうなプロジェクトだが、「まずは日本人に自国の伝統工芸を知ってもらえたら」との思いで日本人をターゲットにした。

プロジェクトは順調だ。現時点での申し込み人数は230名を超え、販売総額はスタート当時の想定の900%以上となる。セット(10個限定)はプロジェクト開始から7時間ほどで売り切れ。浮世絵という伝統工芸とスター・ウォーズというこれまでにないプロジェクトは想像以上の反響を巻き起こしている。

また、タイミングも絶妙だった。今年12月18日には、10年ぶりとなるスター・ウォーズの新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開される。今回のプロジェクトは構想に時間をかけたことで、結果としてこの時期の実施になった。そして、日本人をターゲットにしたものの、海外メディアでも多く取り上げられている。