古ぼけた日本料理店のテーブルで松原と向かい合って話しているうちに、ぼくは彼のことをずいぶん誤解していたと思うようになっていた。
大きな眼で人を見つめる癖、強気な言い回し――生意気に思われることもあるだろうが、この男はとにかくサッカーが好きなのだ。
翌朝、ぼくは松原と一緒に近くのアクリマソン公園まで出かけて一緒に走ることになった。池の周りを何周か走った後、松原はダッシュで坂を上ることを繰り返した。そして、走り終えると用意していた氷をビニール袋に入れて膝の上でぐるぐる巻きにした。
「こうしておかないと後から腫れて大変なんですよ」
サッカーのプロとして生きるというのは、こういうことなのだと改めて思った。
(つづく)