田崎健太「海外サッカーへの憧憬」

~松原良香Vol.2~
スポーツコミュニケーションズ

 古ぼけた日本料理店のテーブルで松原と向かい合って話しているうちに、ぼくは彼のことをずいぶん誤解していたと思うようになっていた。
 大きな眼で人を見つめる癖、強気な言い回し――生意気に思われることもあるだろうが、この男はとにかくサッカーが好きなのだ。

 翌朝、ぼくは松原と一緒に近くのアクリマソン公園まで出かけて一緒に走ることになった。池の周りを何周か走った後、松原はダッシュで坂を上ることを繰り返した。そして、走り終えると用意していた氷をビニール袋に入れて膝の上でぐるぐる巻きにした。

「こうしておかないと後から腫れて大変なんですよ」
 サッカーのプロとして生きるというのは、こういうことなのだと改めて思った。

(つづく)

田崎健太(たざき・けんた)
ノンフィクション作家。1968年3月13日、京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て 99年に退社。著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『辺境遊記』(絵・下田昌克、英治出版)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』(カンゼン)など。14年に上梓した『球童 伊良部秀輝伝』(講談社)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。7月に新作『真説・長州力 1951-2015』(集英社インターナショナル)が発売。早稲田大学スポーツ産業研究所招聘研究員。