【沿線革命055】
新幹線の夜行運行でお盆の混雑は解消できる

山陽新幹線と東北新幹線の事故対策も
阿部 等

新幹線の安全神話は崩壊?

新幹線について、もう一つ触れておきたい。さる8日に、山陽新幹線の小倉-博多を走行中の列車の床下カバーが外れて車体に衝撃し、乗客1人が怪我をした。さらに9日には、東北新幹線の郡山-福島を走行中の列車に、レール下に敷いた金属板が舞い飛んで衝撃し窓ガラスにひびが入った。

いずれも、車両または線路の整備・点検が不十分で発生したものである。再発防止を図らなければいけないが、死傷者が数十人にのぼるような大惨事となる要素はなかった。「暑さで気の緩み」「大事故の前兆」「安全神話崩壊」といったことはない。

それでも、痛ましい事故の経験を糧に鉄道は安全を高めてきた。今回の経験もさらに安全を高める糧としたい。

側スカートのボルト緩みの検知システム

山陽新幹線の外れたカバーは、鉄道界では側(がわ)スカートと呼ばれるもので、騒音対策として床下機器を覆っている。JR東日本の車両は台車まで覆い、東海・西日本・九州の車両は台車の下半分を露出している。

側スカートは、各車両とも長さ数十cmのものが左右に数十ずつ並び、上側をはめ込み、下側をボルトで締める方式としている。その内の1つが外れて飛び、車体とトンネル壁面に繰り返し衝突しながら架線にまで達し、ショートして停電した。

2号車の1番端の側スカートが外れた(JR西日本HPより)

通常の車両の検査・修繕では、ボルト締めのチェックを徹底しており、漏れることはまずない。今回は走行試験による仮撤去・復旧だったため、通常と異なる人が異なる手順で作業し、締め方に問題があったようだ。

振動や風圧でボルトが緩まないよう、座金というドーナツ状の金属板を挟み込むのだが、ひょっとすると、それを漏らしたのかも知れない。隣りの側スカートは、ボルトが1つ外れ、1つ残っており、そのボルトに座金が挟み込まれていなければ、それが原因で間違いないだろう。

ボルト締めが緩いことは目視点検では発見できず、かと言って、締め具合を頻繁に確認するには莫大なコストを要する。また、締まっていないことを車上で検知する仕組みを低コストに構築するアイデアも思い浮かばない。

今回の事故に関して計4つのテレビ番組に出演し解説したが、それによって様々な情報も得られた。思案を重ね、ボルトに縦線を入れ車両基地出入口で画像解析により緩みを検出してはどうかと思い浮かんだ。

パンタグラフの磨耗と損傷を超音波センサーで検出するシステムは実用化済みである。パンタグラフすり板測定装置(http://www.mpec.co.jp/engineering/diagnosis/pantograph_check/)と称する。

問題は汚れにより線を検知できなくなることだが、汚れに強い蛍光塗料等、何らかの解決策を見い出したい。

東北新幹線の金属板外れの防止

レールとまくらぎの間には、軌道パッドと称する板を挿入する。今回外れた金属板は、それとセットで列車の振動を和らげるためのものではないかと思われる。

新幹線は何kmもレールの繋がったロングレールとなっており、温度変化により伸び縮みし、長手方向に非常に大きな力が発生する。軌道パッドがそれでも外れないよう、まくらぎとの間は強力な接着剤で固定するのだが、一部はどうしても外れてしまう。

軌道パッドだけなら、舞い上がっても窓ガラスにひびを入れるほどの悪さはしないが、防振用に金属板を組み合わせていたために事故となったのだろう。

今回は百万単位の膨大な数の1つが風圧で舞い上がりガラスに当たった。車内で死傷者が発生する可能性はないとしても、ホーム上や沿線の人への被害は想定される。まくらぎへの完全な固定等の対策を採ることになろう。