2015.08.13
# 野球

保険金詐欺で誤認逮捕の悲運を乗り越え、初出場
「破天荒監督」率いる大阪偕星が甲子園にドラマを起こす!

まるで「ルーキーズ」の世界
柳川 悠二

スポーツは、唯一平等

大阪桐蔭と履正社の二強が抜きんでた大阪の高校野球において、山本監督が11年に監督に就任した此花学院は決して強豪ではなかった。就任した年の秋の大会でベスト16に進出し、13年秋にはベスト4。そして今年の春にはついに決勝に進出した。

「大阪桐蔭に敗れはしたものの、接戦(1対5)を演じることができた。それが自信になったし、子どもたちの中で〝戦える〟という意識が芽生えたと思います」

この夏の大阪大会では、トーナメントの早い段階で大阪桐蔭と対決することを望んでいた。偕星学園のエースは光田悠哉。できるだけ光田に疲労がない状態で、昨年夏の全国王者と戦いたかったのだ。

目論見通り、準々決勝で大阪桐蔭と対戦した偕星学園は、姫野が先頭打者本塁打を放ち、体調万全の光田が2失点完投して勝利。大体大浪商との決勝では4番田端のスクイズで勝ち越し、4対3で勝利した。波瀾万丈の野球人に率いられたヤンチャ軍団が、甲子園の大舞台に立つことが決まった。

「選手達がね……私の無実を、そして私の教えが間違ってなかったことを証明してくれた。そういう気持ちは強い」

初めて山本監督と会った日、彼は私に「君は在日(韓国人)か?」と聞いてきた。苗字に韓国籍の名に多い「柳」の文字があるために、「同胞」だと思ったのかもしれない。山本監督は、自身が在日韓国人3世であることを打ち明けた。かつては韓国籍だったが、今は日本に帰化している。

「いろいろつらい思いをしたこともありますし、就職差別にも遭いました。だけどね、私のおばあちゃんや、父親ほどではないし、在日として生まれたことで、私自身に日本の社会に対する反骨心みたいなのがあるわけでもない。仕方ないことだと思っています。『おぎゃー』と生まれてから、社会で平等なことなんてひとつもないじゃないですか」

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