佐藤さとる×村上勉
「戦争の前も後も、僕らはずっと悪ガキだった」

『わんぱく天国』復刊記念対談
佐藤さとる, 村上勉

面白い遊びの裏にがき大将がいた

佐藤 ぼくらの間で大人気だった遊びは、『わんぱく天国』にも書いたけど、「母艦水雷」っていう海戦ごっこ。艦長ごっこともいうかな。大勢いないとできない遊び。母艦は水雷に強くて、水雷は艦長をつかまえる役、艦長は一人だけど母艦に強い。艦長が捕まったら負け。母艦は守りが強い奴、水雷は足の速いやつにしたり、みんなで作戦を立てていった。

村上 女の子と遊ぶことはなかったよね。せいぜいぼくの頃にドッジボールができたくらい。

佐藤 ないね。男の遊びは真剣だもの。命がけだよ(笑)。「ふざけっこ」っていう遊びがあって、取っ組み合いなんだけど、なぐったらいけない。くんずほぐれつだよ。「まいった」って言うほうが負け。泣いたりかみついたりはナシ。喧嘩のときは噛みついたけどね(笑)。

村上 喧嘩のとき、泣いてから強い奴もいたよなあ。 

村上つとむ 1943年、兵庫県生まれ。コロボックル物語シリーズで挿絵画家として世に出る。‘67年『おばあさんのひこうき』などで第16回小学館絵画賞を受賞。’72年~‘74年の『佐藤さとる全集』(全12巻)、’82年~‘83年の『佐藤さとるファンタジー全集』(全16巻)の装画・挿絵もすべて担当し、『おおきなきがほしい』『ふしぎなふしぎなながぐつ』などの絵本でも佐藤さとる氏との絶妙なコンビには定評がある。他の著書に文章も書いた絵本『かえるのそらとぶけんきゅうじょ』、自身の幼少時代を書いた『悪ガキ日記』など。有川浩さんとのコンビ作品として『絵本 旅猫リポート』『コロボックル絵物語』がある。

佐藤 ぼくなんかそうだったよ。「さーちゃんが涙流しているから用心しろ」って言われた(笑)。ぼくはグループの中で一番年下だったから、おみそ(みそっかす)にならないよう、苦労したんだよ。だからいろんなことを一生懸命練習した。

村上 川での遊びだって、石を堤防にして筵(むしろ)でくいとめて流れを変えちゃうのね。そうすると干上がるでしょう。底をさらってバケツ一杯ウナギとかナマズとか取れる。田んぼの季節には迷惑をかけたけど(笑)。

佐藤 上流下流をせきとめて大量に魚をとる。カニからなにから全部底をかっさらう。やったなあ。――トムとぼくは時代は違うけど、だいたい同じ悪いことをしているね(笑)。

当時の二人と同様、全力で遊ぶ子どもたちの姿が、『わんぱく天国』に描かれる。当時大流行していた一銭飛行機飛ばしが、「人の乗れる一銭飛行機を作ろうぜ!」とさらに大きな目標に変わり、思わず読む側も夢中になる。中心はやはりがき大将だ。

村上 がき大将は遊んでくれるリーダー。悪いことも教えるけど、すごく大事なことも教えてくれる。私生活から成績まで知っていて、守ってくれる存在だった。

一銭飛行機はグライダーのミニチュア。グライダーと言ってもこれだけの種類が!