[プロ野球]
上田哲之「山田哲人から見えてくるもの」

スポーツコミュニケーションズ

セ、“6弱”の理由

 いずれにせよセ・リーグにも、これだけの打者が出現したことはたしかである。とすれば、よく言われる、「セの打者はパの打者ほどバットを振りきらない、だからパのほうが強い」という俗説も、少々疑わしくなってくるのではあるまいか。

 とくにヤクルトは、川端、山田のあと、4番・畠山和洋は、独特のステップで豪快にふりきるし(密かに「ヨッコラショ打法」と名づけている。1度でも畠山を見たことのある人ならば、わかりますよね)、5番・雄平も、小柄な体がふっとぶんじゃないかと思うほどのフルスイングを繰り出す。こうして見ると、ちょっとソフトバンク打線並ですよ。

 ただ、それでも、セ・リーグはやはり“6弱”と言わざるをえない。そのゆえんは、いったいどこにあるのだろうか。

 たとえば、7月30日のヤクルト―広島戦。スコアだけ見れば、5-4で広島勝利という大接戦の好ゲームである。
 実は、ヤクルトは広島先発の薮田和樹の立ち上がりを攻め、3回までに4-0とリードした。世間の評判通りに、大混戦を抜け出して優勝するチームならば、当然勝ちきるべき試合だろう。

 ところが、試合は中盤に入って、何やらこんがらかった様相を呈し始める。広島側にはセンター丸佳浩のダイビングキャッチとか、ヤクルト側には比屋根渉のバックホームで本塁で刺すとか、お互いいいプレーも出る。

 そうなんだけど、しかし、7回表など、ヤクルトの中継ぎ投手オーランド・ロマンが、無死からいきなり鈴木誠也に四球を出したかと思えば(繰り返すが、鈴木ですよ)、広島は直後にヒットエンドランを仕掛けて得点圏に走者を進めたのに、鈴木は三塁で憤死。

 象徴的なのは9回裏である。1点を追うヤクルトは、あっさり2死となって打席に三輪正義。さすがに苦しいかもしれないが、ともあれ、わずか1点差である。

 三輪の当たりは、平凡なセカンドゴロ。二塁手・菊池涼介が前進してきて、つかんで……、おっーとお手玉、あー、暴投。これを見て、三輪は一塁を蹴って二塁へ向かう。バックアップに入った捕手の會澤翼が、こぼれたボールを拾って二塁へ送球。タッチアウト! 試合終了。