高橋是清、犬養毅、鈴木貫太郎、栗林忠道……
戦中戦後の偉人・軍人末裔が語る「あれから70年」

戦争の有名人 その子孫たちは「いま」【第2部】
週刊現代 プロフィール

「親父への憧れから、僕は自衛隊に入ろうとしたんです。けれど、目が悪くて諦めました。ならばと、世界を相手にする三井物産を選び、各国を回った。海外での仕事で出会う人の中には、軍歴のある人がいて、稀に親父を知っている人もいた」

武蔵といえば、今年3月、米国の実業家ポール・アレン氏がフィリピン・シブヤン海に沈む艦体を発見、引き上げを検討したが頓挫した。勇氏にはこれについて不満があるという。

「日本政府が引き取りに消極的だったんです。武蔵には、自分の意思と関係なく引っ張ってこられた兵士も多く乗っていたのだから、安倍総理は、彼らに参るくらいしてもいいのではと思う」

父と子の「風立ちぬ」

右翼の巨頭で、「玄洋社」の総帥、頭山満は、西洋の帝国主義に抵抗した人物。孫文、蔣介石や、インドのボースなど革命家と親交を持ち、アジア諸国の独立を支援した。廣田弘毅を筆頭に、日本の政財界にも人脈を持ち、「黒幕」と言われた。

曾孫の頭山晋太郎氏(38歳)は、'14年末の衆院選に出馬し落選。現在、次期選挙での当選を目指している。

「頭山は厳格なイメージがありますが、実際はよく冗談も言っていた。意外にも酒が飲めず饅頭が好きだったそうです」

晋太郎氏は、インドの独立運動などを支援した頭山の遺志を継ぎたいのだという。
「一昨年、私がインドを訪れた際には、現地の方に『その節はありがとう』と言われた。それだけ、感謝されているのです。曾祖父は、カネこそ残しませんでしたが、精神的な財産は残っている。引き継いでいきたいと思っています」(晋太郎氏)

零戦の設計者、堀越二郎は'13年、宮崎駿監督『風立ちぬ』のモデルとなり、名を広めた。長男の堀越雅郎氏(78歳)は父親を尊敬してはいたものの、父とは逆の道を選んだという。

堀越は、東京帝大卒業後、三菱内燃機製造で技術者として働いた。「根ほり葉ほりの堀越」と言われる細かさで、当時最強の戦闘機、零戦を開発。

「戦後すぐはストレスを溜めていました。42歳という年齢で会社はどうなるか分からない、連合国から航空機の開発は禁止される。しかも6人の子供を抱えている。この頃、『職業選択を間違えたかもしれない』と書き残しています。当時、小学生の私に算数を教えてくれることがありましたが、妙に厳しくて、私は外出する口実をなんとか作るのに必死でした」

その一方、家族の生活のため、自分のゴルフクラブやカメラを売る優しい父でもあった。

「父が苦労しているのを見ていたから、就職する時には、最初から技術系は選択肢に入れずに、事務職を志したんです。父が三菱だったから、三菱系が良いだろうと、旭硝子に入社しました。父は何も言いませんでした」