【二宮清純レポート】首位打者を目指して今日も打つ 秋山翔吾(西武ライオンズ)が大化けしたのはなぜか?

週刊現代 プロフィール

大阪桐蔭高で1年先輩の藤浪晋太郎(阪神)とバッテリーを組み、史上7校目の春夏連覇を達成した森は、'13年のドラフトで1位指名を受け、西武に入団した。

1年目、高卒野手では史上3人目の3試合連続ホームランを記録し、周囲の度肝を抜いた。

そして今季、ここまでの12本塁打はリーグ8位。漫画『ドカベン』の主人公・山田太郎ばりのフルスイングは、スタンドを魅了して止まない。

無名だった大学時代

持つべき者は、よき後輩である。秋山はこの〝驚異の19歳〟のバッティングから貴重なヒントを得た。

「キャンプの時です。たまたま森のバッティングを見る機会があった。なぜ彼は1年目から、あれだけの成績を残せたのか……。それに対する興味がありました。

よく見ると彼は構えた時、左手をあまりギュッと握っていない。やや遊ばせているんです。そしてインパクトの瞬間だけ力を入れる。さらに言えば、バットは寝かせ気味で、来たボールを素直に打ち返している。〝これは、自分にも使えるんじゃないか〟と……。

というのも、それまでの僕はグリップの位置が高く、点でしか打てないような構えだった。もう少し、バットを水平にする時間を長くしたい。そう考えていた矢先だっただけに、いい教材に出会えたと感謝しています」

秋山は'88年4月、神奈川県横須賀市の生まれである。この年は当たり年で、日本代表クラスがズラッと名を連ねる。

思いつくままにあげても田中将大(ヤンキース)、柳田悠岐(ソフトバンク)、大野雄大(中日)、澤村拓一(巨人)、坂本勇人(巨人)、前田健太(広島)、梶谷隆幸(横浜DeNA)……。精彩を欠いている斎藤佑樹(日本ハム)もそうだ。

15年前に他界した父・肇の影響で、物心つくと同時に野球を始めた。2歳下の弟・拓也は現在、クラブチーム「千曲川硬式野球クラブ」でプレーしている。

最初に憧れたのは松坂大輔(ソフトバンク)だ。

「ちょうど僕が小学4年の時に横浜高のエースとして春夏連覇を達成した。僕が甲子園を意識したのは、あの時が初めてだったと思います」

高校は横浜創学館へ。甲子園を目指したが、高3の夏はベスト8止まり。センバツを制した横浜高の厚い壁にはね返された。

甲子園出場こそ果たせなかったものの、プロのスカウトから秋山は高い評価を得ていた。有力大学からの誘いも相次いだ。