[サッカー]
大野俊三「鹿島・石井新監督への大きな期待」

スポーツコミュニケーションズ

小笠原、曽ヶ端を“懐刀”に

 鹿島は若手の伸び悩みが指摘されています。ここにきて日本代表の主力となりつつあるMF柴崎岳にしても、出てくるのが遅かったと言えるでしょう。本来であれば野沢拓也(現ベガルタ仙台)が抜けた後、すぐ存在感をみせてほしかったところです。世代交代は時間がかかり、簡単ではないとはいえ、この動きはもう止められない段階に来ています。

 理想を言えば、MF小笠原満男やGK曽ヶ端はサブとして、重要な場面で出てくる選手であるべきです。2人とも、これまでの経験、実績からゲームを読む力は卓越しています。だからこそベンチの懐刀として、苦しい時にチームを救う役割を担ってほしいと思っています。

 たとえピッチに立たなくても、控えでいるだけでチームが安心する。僕たちの時代なら、ジーコがそんな存在でした。もちろん、本人たちはまだまだ試合で高いパフォーマンスを見せられる自信があるでしょう。そこをうまく石井監督がマネジメントしながら、チームづくりを進めてほしいものです。

 シーズン途中の監督就任は、立て直しの時間は短く、すぐに成果をみせるのは容易ではありません。しかし、出だしでつまづくと、余計に再建が難しくなってしまいます。就任してからの最初の5試合は非常に大切です。

 その点では、初陣から2連勝を飾ったことは僕自身もホッとしています。結果が出れば、チームの雰囲気は良くなり、周囲の評価も高まります。その分、監督は思いきったことができるはずです。何より、鹿島で初期のレギュラーメンバーだった石井監督の就任は地元のサポーターも歓迎ムードです。昨今の不振で冷めかけていた熱気を再び高め、チームを後押ししてくれるのではないでしょうか。

 鹿島で代行として指揮を執り、その後、川崎フロンターレの監督を経てロンドン五輪代表を率いた関塚隆さんのようなケースもあります。これは石井監督にとってはビッグチャンスです。これまで培ってきた指導力を十分に発揮し、プランを実行に移して、鹿島を新しく蘇らせてほしいものです。

 個人的にはサンフレッチェ広島の森保一監督のように、名将と呼ばれる存在にのぼりつめてほしいと期待しています。 石井監督が鹿島のみならず、日本サッカー界にもインパクトを与える起爆剤になってほしい。ともに戦った仲間として、そう強く願っています。

大野俊三(おおの しゅんぞう)プロフィール>
元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。83年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。92年鹿島アントラーズ設立 とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後 の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima-hsp.com/)の総 支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、 元日本代表。