元手をかけずにスーパーボウルを"ジャック"したボルボの画期的なキャンペーン

カンヌライオンズ2015レポート【4】
石井 うさぎ

ショートメッセージサービスでSOS

今年のカンヌの最後の2日間、つまり6月26日と27日には、分科会的な「ライオンズ・イノベーション」が開かれた。これは、顧客やユーザーに関する膨大なビッグデータを駆使したクリエイティビティを評価しよう、という目的で始まったものだ。今年から始まった「クリエイティブ・データ部門」と、昨年から始まった「イノベーション部門」の2つがある。

今年、クリエイティブ・データ部門のグランプリ受賞作はなかった。しかし金賞受賞作のレベルはかなり高かった。その一つが、メキシコ赤十字の「SOS SMS」だ(この作品はチャリティー系/福祉系なのでグランプリに選ばれない)。

メキシコでは毎日3000人が事故や急病によって救急車で搬送されるが、そのうち5%の人が、血液型やアレルギーなどの基本的な生体情報が救急隊に伝わらないため、命を落としている。本人が意識を失っているケースが多く、救急隊も必要な処置ができないのだ。

そこでメキシコ赤十字は、国民の9割が持っている携帯電話の「緊急通報」機能に着目した。まず、赤十字はあらかじめ人々の血液型やアレルギーなどのデータを集めて登録しておく。

そして、事故に遭った人などが救急車に担ぎ込まれたら、救急隊員が本人の携帯を取り出して「緊急」のボタンと「*SOS」を押すだけで、「血液型:A ペニシリンのアレルギーあり 糖尿病に罹患」というふうに登録していた情報が送られてくる、というものだ。

 Mexican Red Cross “SOS SMS” *Beta Prototype

タイトルはまさに「SMS(ショートメッセージサービス)でSOSを送る」というコンセプトを単刀直入に表現したもの。データが大きな軸になっているという点で、クリエイティブ・データ部門で高く評価されるにふさわしい。