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カンヌライオンズ2015レポート【3】
石井 うさぎ

ライカ、創業から100年の歴史

カンヌで最も古い「TV&シネマフィルム部門」でグランプリを取ったのも、やはり歴史を振り返った作品だ。昨年、創業から100年を迎えたライカの「100」という広告で、歴史的に有名な写真35点のシーンを再現し、それを一本の動画の中でつなげたものである。

具体的には、月面を歩くアポロ11号の宇宙飛行士や、硫黄島の激戦を制し山頂に星条旗を立てるアメリカ兵、ロベール・ドアノーの「パリ市庁舎前のキス」、アニー・リーボヴィッツが撮ったジョン・レノンとオノ・ヨーコ、ロバート・キャパ撮影の「崩れ落ちる兵士」……といった写真の再現シーンが出てくる。

   LEICA “100”

このCMは、今までの100年で歴史に残る有名な写真の多くはライカのカメラで撮影され、他のメーカー製のカメラで撮影されたものも、ライカがあったが故に撮影できたのだ、と訴えている。それは、ライカのおかげでカメラがスタジオの外に出て、社会に生きる人々のリアル・ライフをとらえるものになったからだという。

そこからは、決して押しつけがましくない「私たちライカが写真と撮影の100年の歴史を創ってきたのだ」という静かな自負と、それを支えてくれた多くの写真家たちへの敬意が伝わってきて、非常に後味が良い。