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カンヌライオンズ2015レポート【3】
石井 うさぎ

グーグルが体現した「テクノロジーの民主化」

スマホといえば、カンヌには、スマホやタブレットなどモバイル端末のアプリなどを使ったマーケティングを評価する「モバイル部門」がある。

今年、そのグランプリとなったのは、グーグルが開発したヴァーチャルリアリティ(VR)体験用のヘッドマウント(頭部装着)ディスプレイ「グーグル・カードボード」(Google Cardboard)だ。

Google “Google Cardboard”

名称の通り、ボール紙(カードボード)で利用者が自作できるゴーグル形式のこのデバイスは、カンヌでは「グーグル・ビーチ」というグーグルのパビリオンに展示され、多くの参加者がVRを楽しむなど大変な人気だった。

私も試してみたが、非常に質の高いVRを手軽に体験できることに驚いた。アメリカでは10~20ドル(約1200~2400円)くらいで購入できるというから安いもので、何百万人というユーザーがいるのも納得できる(ちなみに日本ではアマゾンなどで買えるが、本稿執筆時点で日本向けアプリはまだない)。英紙「ガーディアン」はこれを「VRの革命」と評した。

審査員長のジョアンナ・モンテイロ氏は「他にもVRの体験するための機器はいろいろあるが、未来の技術を民主化したという点でグーグル・カードボードがずば抜けていた」と語った。今後、テクノロジーが関連するマーケティングでは、この「テクノロジーの民主化」(democratization of technology)という考え方が重要なキーワードになると思われる。

グーグル・カードボードも、イノベーションという点では斬新ではないかもしれないが、安く簡単に入手でき、モバイル機器とアプリによって多くの人が手軽に楽しめるのは、まさに「テクノロジーの民主化」を体現したものと言える。

カンヌではまた、グーグルによるセミナーも開かれ、そこでは同社の人が「ツールは必ず人のためにならなくてはいけない。ソフトウェアでもハードウェアでもなく、人間にとっての『マインドウェア』として常に進化すべきだとグーグルは考えています」と語っていた。これも見方を変えれば、テクノロジーの民主化を目指す意志の表れと言えるだろう。