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カンヌライオンズ2015レポート【3】
石井 うさぎ

進化するドミノ・ピザ

ちなみに今年のカンヌでは、アメリカの広告会社「CP+B」社が主催したセミナーで、ドミノ・ピザのビジネスの進化について興味深い説明がなされていたので紹介したい。

セミナーではまず、「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に発表された「4つのビジネスモデル」が紹介された。①アセット・ビルダー(Asset Builders)、②サービス・プロバイダー(Service Providers)、③テック・クリエイター(Technology Creators)、④ネットワーク・オーケストレイター(Network Orchestrators)の4つだ。

簡単に言うと、①は、実際に物理的なモノや資産を作ったり売ったりしているビジネスで、例を挙げるとウォルマートやフォードなど。

②は、顧客がお金を払うに値するサービスを提供するビジネスで、アクセンチュアやJPモルガンなど。

③は、ソフトウェアやバイオテクノロジー、分析など知的な資産を開発し、売るビジネスで、マイクロソフトやオラクルなど。

④は、価値創造において互いに交流しシェアし合う人や組織のネットワークを作り出すビジネスで、ウーバー、トリップアドバイザー、アリババなど。

そして企業価値は、①から④に進化するにつれて、倍々ゲームのように増えていくという。①の段階の企業価値を1とすると、②は2になり、③は4、④は8の価値を持つことになる。そしてCP+Bは、もともと①のアセット・ビルダーや②のサービス・プロバイダーだったドミノ・ピザが、今や③のテック・クリエイターになり、さらに④のネットワーク・オーケストレイターに変わろうとしている、と説明した。

昔のドミノ・ピザは、電話で注文を受け、「30分以内にピザが配達されなかったら無料」というサービスで商売をしていた。

ところが2008年には「2015年までにインターネット経由のオーダーを50%にまで上げる」という目標を掲げ、ウェブ対策を徹底的に強化。先ほど紹介したように、今やツイッターや絵文字を使ったり、サムスンのスマートTVと連動したりしてオーダーできるようになった。

「ピザの会社」だったドミノ・ピザが、「マーケティングの会社」になり、さらに「テクノロジーとネットワークの会社」に変貌して企業価値を高めているというのだ。

最近では、スマホ用のオーダー音声認識アプリ「DOM」も公開している。これは、iPhoneの音声認識ソフト「Siri」を開発した企業に依頼したものだという。

CMには、朝、サーフィンをしようとビーチに出た男性が、スマホに「朝の会議をキャンセルするよ」と話しかけると、スマホからは「ピザを食べながら会議をしたら?」という返事が返ってくる、といったユーモラスなシーンもある。

Domino's Pizza “All It Does Offer / Voice Ordering App”