スッパ抜き「内定!」
新国立競技場「完成図」はこうなる

週刊現代 プロフィール

もはや、国際コンペをやり直すのは時間的に厳しい。できるとすれば、これまでに提出された案をベースにして突貫工事で進める。それしか間に合わせる道はありません」(文科省関係者)

そんな中、ザハ氏の案に代わるデザインとして注目が集まっているプランがある。それは前回のコンペで最終審査まで残った、日本の建築家である伊東豊雄氏が提案したデザイン案だ。

なぜこのデザイン案が浮上してきたのか。その理由を順に説明しよう。

まず、工期の問題の他に、今回の問題がここまで大きくなった理由の一つとして建設費がある。

伊東氏をはじめ前回のコンペのデザイン案は1300億円の試算で設計されているが、ザハ氏の案は設計見直しの段階でなぜか建設費が大幅に高騰した。その点、伊東氏の案は予算の範囲内で実現できるように計算されており、費用高騰の恐れは低いと見られている。

別の関係者は「実は、最終的には1800億円まではコストをかけられると踏んでいます」と語る。

「当然、建設費はなるべく安いほうが望ましいので、さすがに2520億円を認めることはできません。しかし、間に合わないということだけは絶対に避けなければいけないので、1800億円くらいは覚悟しなければならないと考えています。

安倍総理も5月の国際交流会議のスピーチで『(日本に)安かろう悪かろう、はいりません』と言っていた。費用を削って質の悪いものを作ってもしょうがないと総理自身が話していたのですから、新国立競技場だって同じでしょう。それを引き合いに出して、官邸には内々に納得してもらっています」

予算が増えたとなれば、さらなる改善も可能となるだろう。

神宮の森にふさわしく

しかし一方で、コンペの候補を再検討するとなれば、1位だったザハ案が潰れた以上、次はまず2位のプランが採用されるのではないかという声もある。だが、今回はそう単純ではない。ザハ氏同様、他の作品もコストや技術的な面からみて、不透明な部分を秘めているからだ。

「2位のオーストラリアのアラステル・レイ・リチャードソン氏によるデザインは、建物の形状がシンプルなので設計はしやすいです。しかし周り全面をガラスで覆った構造をしており、規模も敷地ギリギリまで広がる大きさ。ガラスの透明性を保ちながら全ての機構を実現するのはコスト的にも技術的にも不安は残ります」(建築エコノミストの森山高至氏)