トラブル続出! 認知症で「相続」ができない【後編】
家族が揉めないために、今すぐやっておくべきこと

成年後見人、遺言信託……知らないと大変なことに
週刊現代 プロフィール

相続を前提に考えるなら、相続人になって利益相反行為を起こさない、少し離れた親戚や、信頼できる友人などに頼んでおくのがよいだろう。

もう一つ、意思を遺すという意味で活用したいのが「遺言」だ。法的に有効な遺言の遺し方には、主に3種類がある。一つは、「自筆証書遺言」。パソコンなどではなく、日付や氏名などすべてを自筆で書き、押印したものだ。簡単で費用もかからないが、偽造されやすく、紛失の危険もある。文言も法的に有効な形式に整える必要があるので、特集冒頭に掲載した写真のような遺言専用ノートなどを利用するとよい。

次に簡便なのは、「秘密証書遺言」。これはパソコンで打っても、代筆でもかまわない。自筆で署名・押印し、封筒に入れて、中身と同じハンコで口のところに押印して封をする。この封書に対して、公証人があなたがこれを遺言書だと認めた、という公的な証書を作成してくれる。

これら2種類の遺言は、遺言書を自分で保管するため保管場所も重要だ。金庫や書斎の机のカギのかかる引き出しなど、安全な場所を選んだ上で、どこに保管しているかは、隠し立てをせず、家族に伝えておくとよい。銀行の貸金庫という手もあるが、長年入れておくと費用がかさむ上、そもそも貸金庫があることをきちんと伝えておかなければ遺族が遺言を探すこともできないので要注意だ。

最後は「公正証書遺言」だ。これは公証人に依頼して文章そのものを書いてもらうもの。扱いは「公文書」となり、公証人役場で保管される。

「世間では、『公正証書は確定判決くらい強い』と言われるほど、証拠能力が高いものです」(日本公証人連合会事務局)

これだけは書いておこう

ちなみに公証人とはどんな人々か。多くは国家公務員や判事、検事などの経験者で、公証人法に基づいて法務大臣に任命されており、身分は公務員だ。普段は付き合いがないだろうが、社会的信用は高く、守秘義務もある。インターネットや電話帳などで調べ、行きやすい公証人役場に相談すればよいだろう。

ただ、いずれの形式にしろ、遺言を絶対視することはできない。ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏はこう話す。

「相続に際しては遺言を優先するというルールはありますが、相続人全員が『別の方法で分けよう』と合意すれば、遺言とは異なる結果になる場合もあります。一人でも反対すれば、原則として遺言書通りになるのですが」

広告などで見かける「遺言信託」ならば、どうなのか。宮田総合法務事務所代表で司法書士の宮田浩志氏は、こう話す。

「信託銀行の『遺言信託』は、法的な財産の『信託』とは異なり、信託銀行が公正証書遺言の作成をサポートし、本人が亡くなった際には遺言執行者に就任して遺産分配を行う、いわば遺言書作成・遺言執行サービスの俗称です」