【現役世代必読】
トラブル続出! 認知症で「相続」ができない【前編】
親しか知らない預金口座はどうなるのか

週刊現代 プロフィール

滝本さん親子の場合、被相続人(遺産を遺した人、この場合は父親)の妻である母親が2分の1、滝本さんと弟の子供2人が4分の1ずつ相続するのが法定相続分だ。

しかし実際には、誰が土地や家屋を継ぎ、その価値をどう分け、預貯金は誰の名義にするのかなど、細かい内容を決める必要がある。そこで遺産分割協議を行い、相続人全員が署名・捺印した遺産分割協議書を作成する。

損をするのは遺族

ところが、認知症などで判断能力が著しく低下していると見なされる相続人がいる場合、その人が不利益を受けないために、後見人をつけることが求められるのだ。

「我々子供は、同じ相続人だから、利益相反になるという。それで急遽、父の弟にあたる叔父に母の成年後見人になってもらいました」(滝本さん)

成年後見制度は、'00年に始まった。認知症で判断能力の衰えた高齢者などに代わって、資産の管理を行う後見人を定めることができる制度だ。

滝本さんの母親のように、すでに判断能力が損なわれていると見なされる場合には、親族などの申し立てによって、家庭裁判所が「法定後見人」を認定することになる。

滝本さんら遺族は、成年後見人となった叔父を入れ、ようやく遺産分割協議を始めた。

「ところが、これがすんなりいかない。私と弟は実家の不動産の大半を母に相続してもらって、引き続き実家で母を介護したらいいと思っていたんです。ところが叔父は、父がいない以上、自宅での介護はもう限界だから、すべてを売却して現金にし、それを元手に施設に入れろと主張する。私たちが反対すると意固地になって、『それなら、お母さんが相続した不動産をあとで自分が売却して、施設に入れる』などと言い出した。成年後見人は本人のためと言えば資産の処分ができるんです。

ならば不動産は母に渡さず預貯金を、と思ったら、預貯金は1500万円で不動産が4500万円でしょう。『お母さんの法定相続分は2分の1なのに少な過ぎる』と叔父が譲らない。話がこじれて、遺産分割協議は棚上げ状態。父の預貯金も下ろせず、結局は兄弟でおカネを出し合って、母を自宅介護しています」

ちなみに、相続税の申告はどうなるのか。相続税は故人の死亡翌日から10ヵ月以内に申告しなければならない。申告が遅れると税率が加算される場合がある上、遅れた日数に応じて延滞税も取られてしまう。遺産分割協議が不調の場合でも法定相続分を受け取るものとして申告し、その分の税額を支払う必要がある。

ところが、遺産分割協議が成立していないなかでの申告の場合は、各種の控除など、相続税を安くする特例は受けられない。結局すべては、遺族の損になってしまう。

大認知症時代の相続トラブル。いったいどうやって避ければよいのか。【後編】をご覧いただきたい。

(後編につづく)

「週刊現代」2015年7月25日・8月1日合併号より


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