【戦後70年特別企画】
元零戦搭乗員たちが見つめ続けた「己」と「戦争」【後編】

『零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争』著・神立尚紀インタビュー
1944年10月25日早朝、出撃する神風特攻敷島隊。全機が還らなかった

そこで役員会議がもたれたんですが、そのとき私も陪席を許していただきました。しかし、「解散やむなし」と「維持すべし」に意見は二分し、議論は膠着状態に。そのとき志賀さんが「俺はもう年寄りだから若い人に従うよ、あとはみんなで決めてくれ」って部屋を退出したんです。志賀さんの発言は影響力がありますから、それを配慮されたんだと思います。そして私の傍らを過ぎるときに小声で「あとは頼んだよ」と囁きながら肩を叩いていったんです。

その真意は定かではないのですが、これがきっかけで、思いがけず私が会に参画することになりました。結局、2002年に「零戦搭乗員会」は解散し、同時に私を含めた戦後世代が事務局を運営する「零戦の会」を発足することで「零戦搭乗員会」を継承することになったのです。現在、会員は約300名、うち元搭乗員は約200名です。ときどきモデラーズクラブ(模型愛好者団体)や、零戦マニアの会と間違えて入会を希望される方がいるんですが、そういったものではありません。

―今日お話ししていただいたような元搭乗員の方たちを取り上げているのが新刊の『ゼロファイター列伝 零戦搭乗員たちの戦中、戦後』ですね。

そうです。原田さん、小町さん、志賀さんの話を収録しています。ほかに志賀さんの部下だった山田良市さん、零銭の初空戦に参加した三上一禧さん、羽切松雄さん、戦後沈黙を守り続けた日高盛康さん、以上計7名の話を掲載しています。現在、50名分くらいの蓄積がありますから、第二弾、第三弾と続けて、少しでも多くの零戦搭乗員たちをご紹介できればと思っています。