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大阪桐蔭「プロで活躍する」ための人材育成法

中田翔・中村剛也・森友哉・浅村栄斗・藤浪晋太郎…
週刊現代 プロフィール

「個性のある選手を集め、決して型にはめずに伸ばすのが同校の育成方針です。目を見張るほどの練習量と、それを可能にする、下級生のときの体力作りも徹底している。あと、チームの中心となる選手のスカウト活動を、他の強豪校は専門スタッフに任せることが多いのですが、西谷先生はご自身でもやる。逸材と言われる中学生を見るため、何度も足を運びますね。

中学時代、すでに清原和博に並ぶ逸材と評された中田翔(広島市立国泰寺中学出身)を誘うときも、先生の人柄が表れていた。大阪桐蔭高の練習を終えた夜、そのまま車で広島に向かい、車中泊。中田の様子を見てから大阪にトンボ返りして、大阪桐蔭の生徒を指導する生活を可能な限り、続けたそうです。中田は大阪から日参してくれていることに熱意を感じた。入学後に厳しい要求をしても応えてもらえるだけの信頼関係も、育まれたと思います」

振って振って振りまくる

では、その大阪桐蔭ではどんな選手育成をしているのか。MAX156キロ左腕として甲子園を沸かせ、'05年のドラフト1位で巨人に入団した辻内崇伸(現・女子プロ野球・埼玉アストライアコーチ)が振り返る。

「練習場は大阪と奈良の県境にある生駒山の中腹にあります。授業が終わると、2、3年生はバスで練習場に向かいますが、レギュラーになれない1年生は毎日、山道を駆け上がるんです。通称『獣道』と呼んでいました。傾斜が45度はあるかと思える、整地されていない山道を、草をつかみながら前に進む。本当にキツかったですね。

距離は約5㎞ですが、最初は50分かかる。でも半年もすると、30分ぐらいで登れるようになり、成長を実感できました」

高校生にとって本来は楽しみであるはずの食事も、大阪桐蔭の野球部員にとっては「戦い」だった。辻内が続ける。

「朝からごはんをどんぶり3杯食べることがノルマで、おかずも一切残すことが許されない。終わらないと食堂から出られなかった。ごはんを食べ切るため、お茶や卵などをかけて無理矢理流しこむ。泣きながら食べる奴もいました。そうやって、半ば強制的に食を太くする。僕は2年生になったとき、4杯目をおかわりできるようになりました。

僕は中学時代、大阪桐蔭から誘われるような選手ではなく、セレクションを経て入部しましたが、体重は5kg増え、球速も10キロあがり、140キロの直球が投げられるようになりました」

こうした基礎的な体作りはキツいが、ひとたびボールやバットを持つと、選手たちは重圧から解放され、それぞれが持つ「個性」を爆発させる。米村スカウトが明かす。