元女子アナが描く「女子アナの世界」。テレビ業界の内情やスキャンダル、その「役割」に苦悩する彼女たちのホンネ

インタビュー「書いたのは私です」小島慶子
現代ビジネス編集部 プロフィール

―望美と同期の佐野アリサは、ハーフだけど地味な女子アナで、優等生の勉強屋。すべてに恵まれ、奔放なまなみを快くは思うはずもない。

彼女は彼女で、教師である母親から「努力は必ず報われる」と教えられて育ち、「真っ当でなくてはならない」という縛りから自由になれない。

社内結婚して娘を出産したけれど、家を空けることの多い夫や、姑との関係がうまくいかない。頑張っているのにどうして、と悩みは深くなるばかり。自分に降りかかっていた抑圧を今度は子供に向けてしまいます。

―物語では、スキャンダラスな業界の内情が赤裸々に描かれていきます。

美人だともてはやされて育ち、局アナとして守られているまなみは、どこか世間知らずなんです。作家、広告マン、医師と一見華やかに見えて、ダメな男ばかりに引っかかってしまう。

30代が見えてきて、局アナからの次のステップを考えると焦りも生まれます。必要ないのに焦ってしまうのも、この業界に生きている彼女たちの宿命なのかもしれません。

―まなみと同期で入社しながら、失踪した元女子アナ・滝野ルイが物語後半の鍵を握ります。

ルイは、性別違和に苦しんで失踪、いまでは男となって生きています。もしかして、「元女子アナで性同一性障害」というルイは、小説として作り込みすぎのキャラクターかもしれません。

ですが、性同一性障害や性別違和は、特殊なものではないのではないでしょうか。私自身は性別違和ではないですが、摂食障害や不安障害に苦しんだ過去がある。そのままでそこにいていいと言われたいのに、求められる役割に自分を押し込めて苦しい思いをすることは、多くの人に経験があるのではと思います。

―ご自身ではこの小説をどう読んでもらいたいと考えていますか。

この小説の登場人物たちは、自分の強烈な欲望を持てあましながら、それぞれに母娘の関係性、家族や夫婦の問題、ハラスメントなどの職場の問題にも翻弄されていきます。皆さん自身や、家族が抱える悩みやしんどさに寄り添うことができる作品になったなら、うれしいですね。

小島慶子(こじま・けいこ)
'72年オーストラリア生まれ。エッセイスト、タレント。'95年TBSに入社し、アナウンサーとして勤務。'10年に退社。著書に『女たちの武装解除』『大黒柱マザー』『解縛 しんどい親から自由になる』などがある

(取材・文/窪木淳子)
『週刊現代」2015年7月18日号より


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