【現地ルポ】他人事ではない!
「借金まみれ」ギリシャを見て、10年後の日本を思う

週刊現代 プロフィール

おのずと若者の中には、職を求めて「国外逃亡」する者も後を絶たない。ギリシャ国内で職がある若者もまだ余裕がある内にと、幼な子を連れて国外移住を目指す家庭が急増している。

「こうして若者と子供が去り、ギリシャは老人だらけの国に成り果てる可能性が出てきました。それを避けるためにも教育予算だけは削減するべきではないという議論もあるのですが、聖域なき歳出カットをしている政府はどうにも対処できずに手をこまねいたまま。その間にも、若者たちが国外に逃げていっているというのが現実です」

生活苦が高齢者を直撃

そうしてギリシャ国内に残された高齢者の生活も、かなり悲惨なものへと転落していく。

「年金カットが凄まじい勢いで実行されているからです。先日、銀行の事実上の預金封鎖が行われた際にも、初日の朝からギリシャナショナル銀行の開かない窓口に行列を作っていたのは老人たちでした。月末は年金の支払日で、毎月のわずかな年金でギリギリの生活をしている老人たちには死活問題だったわけです。

'12年4月には年金カットの生活苦にあえいでいた77歳の老人が国会議事堂前のシンタグマ広場で抗議自殺をしています。これがきっかけとなり、年金カットに苦しむ人たちが国会議事堂前に殺到し、数日間にわたる抗議集会をしたこともあります。

そのためか、政府は今回、年金の支払いがないとまったく手持ちのおカネがなく困窮する人たちについては指定した銀行を開いて年金の一部を支払うことを決めました。しかし、その額はたったの月額120ユーロ(約1万6000円)です」

これ以上の歳出カットで年金を削られたら、文字通り生死に直結する。EUなどが求める緊縮案をギリシャ国民が簡単に受け入れられないのには、こうした事情があるわけだ。

「ギリシャ国民は金融支援を受けているくせに、痛みを受け入れようとしないなどと外国では批判されますが、こうした意見はギリシャの実情をわかっていない。

というのも、支援されたおカネは困窮するギリシャ国民に回っているわけではなくて、ギリシャ国債の債権者である外国の銀行に流れていっているだけだからです。支援金は外国の銀行の救済に使われていると言っても、過言ではありません。

一方で、当のギリシャ人は金融支援と引き換えに数年におよぶ緊縮策で歳出カットと増税の二重苦を受けている。政府が作ってしまった借金のツケを回されるのは、結局は国民。特に中間層以下の、弱い立場の国民にシワ寄せがいくわけです」

これと同じようなことが日本で起きると想像すれば、目も当てられない。

ギリシャよりも少子高齢化が進んでいる日本では、歳出カットの煽りに直撃されるのが大量の高齢者であり、年金生活者であるということになる。

しかも、日本が1000兆円超という天文学的な額の借金を背負っていることを考えれば、歳出カットや緊縮策の規模はギリシャよりも過激かつ執拗なものとなるだろう。