【現地ルポ】他人事ではない!
「借金まみれ」ギリシャを見て、10年後の日本を思う

週刊現代 プロフィール

日本ではいまだ本格的な財政支出カットを行わず、問題を先送りしているから「ギリシャ化」していないだけ。いよいよ待ったなしの状況に追い込まれて、歳出カットが始まれば、それこそギリシャの比ではないほどの惨事になりかねない。

そうした意味で、かの国の現実が、10年後の日本の姿そのものとなっていても、まったく不思議ではない。

「ギリシャの財政問題が発覚して以降、まず目立って急増したのは失業、ホームレス化、自殺でした。

信用不安から外資系企業の撤退が相次ぎ、さらに、支払いが滞る可能性があるためギリシャ企業向けの輸出に対する保険の停止といった事態が発生。結果、打撃を受けた輸入関連業者の中には廃業を余儀なくされるところや給与支払いができないところが出てきて、アテネの目抜き通りには『貸店舗』の張り紙をした空き店舗が一気に目につくようになりました」(前出・有馬氏、以下同)

中間層から一気にホームレス化

国家の借金問題が一向に解決されない中、このような国民の生活不況ぶりは悪化するばかりで、よりひどい状況へと追い込まれていく。最近では次のような惨状にまで堕ちている。

「定職があっても月収が300~500ユーロほど(約4万~7万円)なので、家賃と光熱費を支払ったらなにも残らないどころか、足りない。1日に卵1個の食事しかとれない若者もいます。

以前はメトロなどで物乞いをするのは不法移民などでしたが、最近ではギリシャ人が病気の子供を救いたいなどと涙ながらに訴えて、車両を渡り歩いて物乞いをしている。

公園などで寝泊まりするホームレスはあまり見かけなかったが、いまは寝袋で寝ている人をよく見ます。経営者だったけれど仕事がなくなって倒産の憂き目にあった人、大手企業に勤めていたけれどリストラにあった人なども少なくなく、援助してくれる親戚などがいない場合、突然中間層から貧困層、そしてホームレス生活に堕ちていくからおそろしい」

財政危機が発覚し、金融支援と引き換えに緊縮政策が開始されて以降、貧困率が特に上昇しているのは18~24歳の若年層。高学歴でも仕事が得られず、仕事にありつけても700ユーロ以上は稼ぐことが難しいため、彼らは「700ジェネレーション」と呼ばれている。

「小さい子供を持つ家庭の貧困もすさまじいものです。ある財団が貧困層の多い公立小学校の調査をしたところ、17%の家庭が誰一人収入のある人がいない、25%の家庭が毎日の食事に困っている、60%が明日以降の生活に不安があるという切迫した状況であることがわかりました。公立の小学校では空腹の子供が急増し、体調不良や集中力低下の児童が多く報告されています。

しかも、以前は多くの公立の保育所には給食センターがあったのですが、資金難でこれを閉鎖して安価なランチボックスのサービスを利用するようになった。それも最近は国からの運営費が来ないため、十分オーダーできない保育所が出てきているので、状況は悪くなるばかりです」