元国連・赤阪清隆氏が語るイギリス留学の魅力
真面目に勉強する日本人は海外の競争にもついていける?

オックスブリッジの卒業生は、今
オックスブリッジ卒業生100人委員会

国連は「中立」ではなく、「衡平」を大事にする

― 以前、国連のフォーラムの記事で、「公平と中立の違い」について言及されていましたが、これについて詳しく教えていただけますか?

国連では、中立と公平については常に議論しています。例えば第二次世界大戦中に、中立国スイスはナチスの預金をベースにお金持ちになったのではないかと、非常に批判を浴びました。紛争が起きてジェノサイドだとかが起きている時に、中立と言って無視したり利益を得たり、独裁者がお金を中立国に預けるマネーロンダリングなんかもあります。

でも例えば中東和平問題でイスラエルとアラブ諸国が対立している時に、どちらかの肩を持つということは難しいですよね。ですから国連は「中立」ではなく、いろいろな利害関係者と等距離を保たなくちゃいけない。「中立」として何もしないのではなく、「衡平」にむしろあれしなさい、これしなさい、交渉しなさいと、アプローチしつつも等距離を保つ「衡平」を大事にするのです。難しくなった「中立」という概念について、私の著書、『国際機関で見た―「世界のエリートの正体』でも紹介しております。

赤阪理事長と聞き手の水野と羽生 (写真:FPCJ提供)

イギリスから多くのことを吸収してほしい

― 最後に、オックスブリッジ留学を考えている方々へのメッセージをお願いします。

オックスフォードとケンブリッジというのは世界に冠たる大学であることは間違いありません。そこに日本の若い人が何年か学び、世界の学生と一緒に過ごすというのは、大変貴重な経験になると思いますので、積極的にもっとチャレンジしてほしいと思います。今、政府も民間企業も、そういうチャレンジ精神を持った若い人を支援する機運も非常に高まっていますから、やる気さえあれば、昔ほど難しくなくなっているはずです。

オリンピックの招致委員会の高円宮妃殿下のスピーチが非常に世界から褒められていますが、彼女の英語にしても、教育はイギリス。ケンブリッジのガートン・カレッジの賜物ですよね。きれいな英語とか、文化、歴史、面白いシェークスピア劇など、学ぶことがいっぱいあるイギリスから、若い時にいろいろなものを吸収してほしいと思います。

〈編集後記〉
赤阪清隆さんは今回のインタビューで、仕事でも留学でも、「ミッション」を持つことの重要性を語って下さいました。また、国際連合でのご経験から、「中立」と「公平」の違いという、多極化・複雑化するする現代のグローバル社会において、極めて重要な知見を伺うことができました。

赤阪清隆(あかさか・きよたか)
京都大学(法学部)卒。英国ケンブリッジ大学にて経済学学士及び修士号取得。1971年に外務省に入省。入省後は国際機関での勤務が長く、1988年GATT(WTOの前身)事務局、1993年世界保健機関(WHO)事務局、2000年に国連日本政府代表部大使を務める。2003年に経済協力開発機構(OECD)事務次長に就任。2007年4月から2012年3月までは国連広報担当事務次長(広報局長)として、世界中の国連広報センターや既存のメディア、ソーシャルメディアなどを活用した国連の広報強化に尽力した。2012年8月より現職。
羽生雄毅(はにゅう・ゆうき)
1985年生まれ。2002年、イスラマバード・インターナショナルスクールより高校2年修了でオックスフォード大学セイント・キャサリンズカレッジへ入学。無機化学専攻。2006年からは博士課程に進学、2010年博士号取得。在学中は科学ソサエティーの会長や、アジア太平洋ソサエティーの委員などを務める。卒業後はモスクワ国立大学への短期留学、東北大学、東芝研究開発センターを経て、2015年からはバイオベンチャーの創業に携わる。
水野稚(みずの・ゆか)
東京・白金台にあるMELS英語学校代表。Allabout英語学習ガイドの他、ジパングマネジメント株式会社にてメディア活動に従事。企業英語研修講師の仕事を通じて英語教育改革の必要性を痛感し、30歳で大学院進学を決意。青山学院大学修士課程、東京大学博士課程にて英語教育政策を研究。2008年に渡英、オックスフォード大学にて応用言語学および第二言語習得論修士号取得。慶應義塾大学や上智大学などにおける英語教授経験も豊富。単なるツールとしての英語教育ではなく、国際マナーや日本文化の発信のための英語教育を目指す。著書に『これだけで聞き取れる!たった3つの英語リスニング秘密の法則』(学研)。