元国連・赤阪清隆氏が語るイギリス留学の魅力
真面目に勉強する日本人は海外の競争にもついていける?

オックスブリッジの卒業生は、今
オックスブリッジ卒業生100人委員会

留学すれば、人は変わる!

― オックスブリッジで学ぶ意義があるとすると、それは何でしょう?

様々な所でオックスブリッジ出身の人に会いましたが、OECDや国連事務局などの国際機関で、国際的に活躍している人が多いです。アメリカの有名大学もそうですが、しっかりとした大学を出ることによる信用度も、オックスブリッジで学ぶ意義の一つではないでしょうか。特にアメリカ人ははっきり言います。

オックスブリッジだろうが、MITだろうが、ハーバードだろうが、普通の日本人で真面目に勉強する人はしっかり競争についていけると思います。日本人はみんな真面目だし、辛抱強いし、よく勉強するから。だからそうやって経験を積むと、自分の将来にとって大きなアセットになると思います。

GATT(現在はWTO)に行った時は、アメリカの貿易政策について事務局ペーパーを書いたのですけれども、その時にケンブリッジで学んだ書き方や論文のまとめ方が蘇ってきました。論文の書き方をケンブリッジのハードな勉強で叩きこまれたからこそ、この仕事ができました。そういう経験を大学時代にすると、後でタフな人間になる気がします。

在学中、トリニティカレッジにて (写真:赤阪氏提供)


― 国内の大学では得られないものがあるとすると、それは何でしょうか。

留学をしたら人は変わります。内向きな人が外向きな人間にすっかり変わります。内向きではやっていけない環境になりますから。下手な英語でもなんでも、喋らなければいけない環境に自分を置けば、それまで臆病で人前で話をするのが苦手だった人も、人前で話をすることが楽しくて仕方がないようなふうに、人は変わります。

日本で同じような環境にどっぷり浸かっていた場合は、そのような劇的な変化というのはなかなか、経験しようと思っても出来ないと思います。これから競争が激しくなるグローバルな世界の中で生きてくためには、若い時に留学経験をして、いろいろな国の人と一緒に勉強したり遊んだり、喧嘩したり、経験を積んだりしたほうが絶対いいのだと。それは口を酸っぱくして申し上げます。

それから、勉強させられます。アメリカやイギリス、ケンブリッジやオックスフォードに行ったら、こんなに皆勉強するのかと。こんなに本も読まなくちゃいけないとか、こんなにペーパーも書かなくちゃいけないとか。ものすごく厳しい状況に置かれますけど、否が応でも勉強します。

でも緩急はっきり分かれていて、忙しい時は忙しいけれど、長い夏休みには旅行も出来ます。ちょっとドーバー海峡を越えれば、何十カ国も見て面白い経験が出来るので、そういう面ではイギリスのほうがいいと思います。

30年かけて何をするか、使命感を持ってほしい

― ケンブリッジでの学びで、「これだ」というものについてお伺いします。

私は若い時、法律を学んで正義のために尽くすという漠然とした気持ちはありましたけど、自分は何を使命にして生きていこうとするのかという目的意識がありませんでした。しかしそれを後に悔やむことしきりでした。後にWTOやWHOのような国際機関での仕事を通じて、これは世のため人のために役に立つというものが見つかりましたが、ちょっと遅かったです。

若い時にケンブリッジやオックスフォードに行って、科学か、哲学か、あるいは音楽か、自分は何を使命として一生やっていきたいのか。そういう使命がはっきりしていれば、積み上げて積み上げた勉強が、いろいろな面で役に立つと思います。それこそミッションがあれば、自分の信じるところをまず一生懸命やってみようという感じがします。オックスブリッジにはすごい先生方がいるし、勉強も好むと好まざるとに関わらずやらされるから、すごい業績を残す仕事が出来るようになるのではないでしょうか。

だから今、大学に行く若い人に言いたいのは、どこの大学に行くとか、どこの企業に入るとかいうことではなくて、自分が30年40年かけて何をするためにこの世の中に生きているのか、という使命感を持つことです。これからまだ人生は長いんだから。ミッションがナンバーワンに重要で、それからいろいろな教養や、勉強や、コミュニケーション能力などです。