【独占インタビュー】
瀬戸内寂聴「93歳の私が国会まで行って、伝えたかった思い」

戦争を知る私から、戦争を知らない日本人へ
週刊現代 プロフィール

ホリエモン(ライブドア元社長の堀江貴文氏)と話していたら、「いや、寂聴さん。いまの世界では、戦争をしてもどの国の利益にもなりません。だから、実際には戦争にならないんですよ」と言うんですね。けれども、私は違うと思う。

夫婦喧嘩でも、別に大した原因はないのに、天気が悪くてむしゃくしゃしたからといって、怒鳴り合いの喧嘩になって、離婚に至ることだってあるんです。ひとたび戦争のできる国になってしまえば、どうなるか。いまのように中国や韓国の国民感情を悪化させていたら、ちょっとしたことで戦争は起きかねません。

それに、安倍さんの安保法案では、自衛隊が米軍など外国の軍隊の後方支援をするという。「いや、後方支援だから大丈夫です、戦争に行くのではないのです」などと安倍さんは言うけれども、何が大丈夫なものですか。それはこちらの都合であって、戦争している相手からすれば、米国と同じ敵軍になるでしょう。日本の自衛隊は別なんだ、などと区別してくれる道理はありませんよ。

私は、安倍さんが首相になったとき、ここまでひどいことになるとは想像もしていませんでした。日本の政治家にしては、背も高いし、体格もいいし、外国の要人と並んでも見劣りしないから、いいんじゃないかとさえ思っていました。

直接、間近に安倍さんの姿を見たのは、'06年11月に私が文化勲章を授与されたときです。

当時は第一次安倍政権下だったので、授章式では天皇陛下の横に安倍さんが立っていて、賞状などを陛下に渡す係をしていました。普通なら、晴れの日なのだから、言葉を発さなくても、にこやかな表情をしているものだと思うのに、真っ青な顔をして、いかにも辛そうに立っていたのを覚えています。

『妙な人だなあ』とその時は思ったけれども、あとになってみれば、もう体調がかなり悪かったのでしょう。結局、第一次政権は体調不良で退陣しましたよね。

ところが、今回の安保法案の審議をテレビの国会中継で見ていたら、まるで別人のように、意気揚々としゃべっている。身体の具合がよくなったのはいいことですが、今度はちょっと心の針が逆に振れ過ぎているんじゃないかと思うわね。

国会なんてやめたらいい

それにつけても、いまの国会の審議、あれは一体、何ですか。安倍さんは自分が質問されてもいないときにまで出て来て、自説を滔々としゃべる。大臣や官僚は、あらかじめ受け取っている質問に「こう答えよう」と決めてきた文句だけを口にする。野党は野党で、自分の主張を長々としゃべっている。そして議員の多くは居眠りしている。

いまの国会では、会話というものが成立していないのね。相手の話を聞いて、考えたことをまた相手にぶつけるという、当たり前のやり取りがないんです。あんなことなら、国会なんかやめたらいいと思いましたよ。

そういう状態に政治家が慣れきってしまっているから、政権側は国民の声を無視して、平気でいる。野党は野党で、形ばかりで、心に響かない批判しかできないんです。