精神科病院准看護師が
患者の頭を踏みつけ、首の骨を折る
異常虐待の闇が明るみに!【前篇】

佐藤光展(読売新聞医療部 記者), 講談社現代新書

搬送時、ユウキさんの顔面左側には額から目にかけて大きなあざがあった。A病院は「おむつ替えの時にできた擦過傷(さっかしょう)」と家族に説明したが、姉が後日、親しい医師に負傷部位の写真を見せると「明らかな打撲傷」と指摘された。

「何があったのですか」

1月4日午後、不信感を募らせた母親と姉がA病院を訪れ、院長に説明を求めた。病院側は、保護室の監視モニターのビデオ(1月1日午後の分)を早送りで再生しながら「〔ユウキさんは〕何度も自傷行為をしており、そのために負傷したようです」と説明した。

だが1月1日の映像に自傷行為の場面はなく、代わりに、病院職員がユウキさんの顔面を踏みつける様子が映っているのを姉が発見した。その場で指摘したが、院長は何も答えなかったという。

(→後編につづく)

佐藤光展(さとう・みつのぶ)
読売新聞東京本社医療部記者。群馬県前橋市生まれ。神戸新聞社の社会部で阪神淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)などを取材。2000年に読売新聞東京本社に移り、静岡支局と甲府支局を経て2003年から医療部。取材活動の傍ら、日本外科学会学術集会、日本内視鏡外科学会総会、日本公衆衛生学会総会等の学会や、大学などで「患者のための医療」や「精神医療」などをテーマに講演。著書に「精神医療ダークサイド」(講談社現代新書)。分担執筆は『こころの科学増刊 くすりにたよらない精神医学』(日本評論社)、『統合失調症の人が知っておくべきこと』(NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ)、『精神保健福祉白書』(中央法規出版)など。