少年Aのベストセラー『絶歌』 どう読むのが正しいのか

青木理×香山リカ×中島正純
週刊現代 プロフィール

反省しているのだろうが…

香山 彼が転々とした職場では、その知性は発揮できなかったわけですよね。たとえば、派遣労働の現場で上司のガサツな振る舞いを見て、あからさまにバカにする目線を向けています。親しくなった先輩に優しくされても、自分を罰する気持ちが働いて、うまくコミュニケーションをとることができず、孤立する。

そういう環境が、自分の抱える考えを文章にして発表したい、という感情を募らせていったのではないでしょうか。

中島 ただ、私は彼がたしかに矯正できているかというと、疑問です。文章を読んでも反省の気持ちは表面的なもので、内心がどうも読み取れませんから。

香山 もしかしたら、彼は彼なりに精一杯の反省の念を持っているのかもしれません。ただそれは、私たちが期待しているような反省のレベルとはずいぶん開きがある。

青木 しかし、こうした特異な事件を普遍化して少年法の厳罰化にひた走ってきた風潮には疑問が残ります。今回もそうした声が出ている。

香山 だから、周りにいる大人、今回の手記発表に関していえば出版社側とかが、彼にきちんと説明しなければならなかった。遺族の人たちに対する配慮をもっと示すべきだったと思いますね。

中島 同感ですね。確かに出版の自由はあるでしょうが、それまでに思いとどまらせることはできなかったのか。手記を出すのではなく、おとなしく反省を続け、遺族の方へのお詫びを続けていられなかったのか。そう思わざるをえません。

なかじま・まさずみ/'69年生まれ。犯罪ジャーナリスト。'91年より大阪府警勤務、'04年退官。'09~'12年衆議院議員。環境大臣政務官などを歴任
かやま・りか/'60年生まれ。精神科医、立教大学現代心理学部教授。専門は精神病理学。『テロリストの心理戦術』『振り回されない生き方』など
あおき・おさむ/'66年生まれ。ジャーナリスト。共同通信で社会部、外信部、ソウル特派員などを経て'06年退社。『絞首刑』『抵抗の拠点から』など

 「週刊現代」2015年7月4日号より


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