防衛事務次官・西正典に聞く、オックスブリッジに学ぶ安全保障の神髄「歴史を押さえて物事の広がりを見よ」

オックスブリッジの卒業生は、いま
オックスブリッジ卒業生100人委員会

ハワード教授はコソボかボスニア・ヘルツェゴビナの内戦時に、「内戦介入に関するマイケル・ハワード3原則」というのを新聞に出したんです。

その1、内戦には関与してはいけない。
その2、もしどうしても関与せざるを得ないのであれば、熟慮して付く側を選べ。
その3、付いた側を必ず勝利へと導け。

ヨーロッパという難しい場所での歴史から何を学ぶのか。やはり、オックスフォードで2年間暮らさなければ、英国が持っている色々なソフトウェアというものは理解できなかったと思うし、その中に強さがあるのだと思いますね。

それから、古典を勉強してほしいと思います。英国の社会人として、ソーシャル・エリートを目指す過程で、古典を勉強する者がかなりの数います。古典を読むことの意味は、年が経てば経つほど分かる。やはり古典に回帰せざるを得ないんです。ヨーロッパの古典でなくても、日本であれ中国であれ、古典を読むということがどれだけ重要か。そのことに気付いたのはオックスフォードにいたから。英国、特にオックスフォードにいたことのメリットというのは、英国が蓄えている「知的財産」を侮ることなかれ、ということを知ったことじゃないでしょうか。

-歴史の蓄積みたいなものに触れ考えを深めていくという英国のやり方は大変興味深いですね。本日はどうもありがとうございました。

大変貴重なお話をたくさん聞かせていただきました(写真:防衛省提供)


<インタビュー後記>
-歴史を踏まえながら物事を見通すという、ハワード教授直伝の観察眼、言うなれば一つの「オックスブリッジの流儀」が、日本の安全保障の神髄として生きていることを強く感じました。コースやカレッジは違えど、私もオックスブリッジで学んだ後輩として、また日本の安全保障を担う一人として、より一層精進しようと心に誓いました。

西正典(にし・まさのり)
オックスフォード大学社会科学部(Social Science Faculty)国際関係論修士課程(M.Litt International Relations)卒業

東京大学法学部卒業。1978年防衛庁入庁。1983年から2年間、オックスフォード大学(トリニティー・カレッジ)へ留学。帰国後、宮下創平防衛庁長官秘書官、経理装備局長、防衛政策局長などの要職を経て、現在は第32代防衛事務次官として防衛大臣を補佐し、我が国の安全保障に係る事務を整理・監督している。
丸﨑玲(まるさき・あきら)
オックスフォード大学 国際開発学部(Queen Elizabeth House) 難民・強制移住研究修士課程(MSc in Refugee and Forced Migration Studies) 卒業

開成中学・同高校・東京大学教養学部国際関係論学科卒業。東京大学在学中、パリ政治学院(Sciences Po)交換留学。2008年防衛省入省。2012年から2年間英国留学。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)国際関係論修士課程(MSc International Relations)卒業後、オックスフォード大学(サマーヴィル・カレッジ)へ。現在は、防衛省防衛政策局調査課戦略情報分析室にて、安全保障政策に係るインテリジェンス関連業務に従事。

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                                                    オックスブリッジ100人委員会より