【沿線革命048】地震発生! 
鉄道をいち早く運転再開させるには

阿部 等

社会のコンプライアンス要求が高まるほど復旧に時間を要する

5月30日の地震の際は、土曜の、しかも勤務時間終了後だった。現場を点検する現業区の多くには、宿直者1名と、その晩の夜間作業に従事する数名しかいなかったはずだ。さらに、土曜は平日の晩より夜間作業が少なく、非常に限られた人数だっただろう。

となると、現場を点検する要員を確保するために、私が担当していた頃は、緊急連絡簿に基づき区所から近い社員から順に連絡していった。最近は携帯メールで同報連絡しているのだろう。

とはいえ、東京都心の線区を管轄している区所の社員は、職場まで自転車で10分以内にはほとんど住んでいない。鉄道で30分なら近い方で、点検が必要な状況では鉄道が動いていない。

マイカーやタクシーで駆けつけるとして、人手が集まるだけで相当の時間を要する。鉄道が止まると自動車の利用が増えて道路は渋滞し、ますます時間を要する。

さらに厄介なのが、夜間帯だと飲酒をしている人が多いことだ。社会のコンプライアンス要求が今ほど高くなかった頃は、多少の飲酒をしていても早くに運転再開することが第一と、緊急出勤して現場点検していただろう。

ところが、福知山線事故の当日に、事故と無関係の車掌区がボーリング大会を中止しなかっただけで、マスコミが厳しく非難報道する時代である。飲酒している人が現場点検したなどと判明したら大変な騒ぎとなってしまう。

その職場の歓送迎会の日だったりしたら大変だ。飲酒していない人は非常に限られ、現場点検に時間を要し、運転再開はどんどん遅れる。