スティーブ・モリヤマ 第4回
「私の夢は、"この世のものとは思えない青"を自分の目で確かめることです」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ 日本には、そういう"内なる声"に耳を傾ける余裕がない生活をおくっている中年男性が多いからね。

モリヤマ でも、見方を変えると、それはそれで凄いことなんですよね。自分の中で確実に起きている変化を黙殺・封印してしまう強さを持ってるわけですから。もちろん、シマジ先生みたいに、すべてを超越して動き続けられる方は別格ですが。

シマジ 回遊魚マグロは止まらない(笑)。スティーブもマグロでしょう。

モリヤマ カジキマグロにしましょうよ。そっちのほうが格好イイので(笑)。確かに、いろんなことを同時並行してやるのが好きなので、止まるに止まれませんが、きっと止まると死んでしまうんでしょうね。カジキマグロのように。

シマジ メメント・モリ<人はいずれ死ぬ。だから、今を生きよ>だよ。

モリヤマ メメント・モリ「ヤマ」です(笑)。すみません、ワンパターンのお返ししかできなくて。このボトルにも髑髏のロゴが描かれていますが、シマジ先生は本当にドクロがお好きなんですね。

シマジ 死は誰にでも平等にいずれはやってくるんです。それまでの間、いかにセンスよく暇つぶしをするか、というのがわたしの人生のテーマなんです。この考え方は今東光大僧正に教えていただいたもので、仏教の世界では「遊戯三昧(ゆげざんまい)」というそうです。

モリヤマ 伊勢丹のバーに今先生の書が架かってましたね。

シマジ そうです。「遊びのなかに人生の真実がある」という、難しい教えなんですよ。

モリヤマ それはまさに先ほどお話した「ストリート・スマート」な生き方にも関係しますし、思秋期を迎えている人であれば「内なる声に耳を傾ける知恵」にもつながっていきます。その心こそ「遊戯三昧」といえるんじゃないでしょうか。こうしてネスプレッソをチェイサーにしながら、シングルモルトを味わうのも「遊戯」なのでしょうね。

シマジ スティーブ、鋭い。スランジバー! そういうことだよ。そういえば、開高文豪と『水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』という対談をやってたのも、開高先生が53,4歳で、わたしが42,3歳ぐらいのころだったな。よく「クタビレタ。横にならせてもらうよ」と言って、わたしが話すジョークを寝ながら聞いて笑っていたものです。

立木 シマジが開高さんを無理矢理ひっぱり出してジョーク十番勝負を仕掛けたりしたから、命を縮めたんじゃないのか。

ヒノ でも最近出た『蘇生版 水の上を歩く?』を見ますと、シマジさんのジョークに開高先生が身をよじって笑っている写真がたくさん載っていますよね。僕は昔の単行本も文庫本も持っていますが、蘇生版を読んで、「やっぱりこれは名著だなあ」とつくづく感心しました。じつに美しい造本です。驚いたのは、シマジさんがイタコになって開高先生を天国から呼び寄せて、「番外編」で大勝負をしていることです。