最新研究「瞬間睡眠」が、脳を若返らせる
昼間に突然「カクッ」あの瞬間に起きていること

週刊現代 プロフィール

一瞬、うつらうつらと眠るだけでこれほどの働きをしてくれるマイクロ・スリープ。数分から数十分の仮眠になると、さらに驚くべき効果があることがわかってきたと坪田氏は話す。

仮眠にこうした大きな効果があることは、米航空宇宙局(NASA)の研究でも示されています。26分間の仮眠を取ると、パイロットの能力が34%も向上したというデータが出てきました」

眠気が取れれば能力が上がるのは当然、と思われるかもしれない。だが、仮眠の効果はこれだけではないと坪田氏は話す。

「南欧や南米では『シエスタ』と呼ばれる昼寝の習慣がありますが、20分以下のシエスタを行っている人はそうでない人に比べて心筋梗塞になるリスクが23%低下したという報告があります。

認知症予防にも大きな効果があり、毎日30分以内の昼寝をしていると、認知症になる確率が5分の1にまで下がることがわかってきたのです」

では、なぜ午後にウトウトすることに大きな効果があるのか。それは人間の体内時計の周期に関係すると考えられていると坪田氏は解説する。

「人間の体内時計は、おおよそ24時間で回り、多くの場合、午前2時~午前4時にピークが来る眠気の周期があります。

一方で、約半日で回る周期もあって、真夜中に次ぐ第二の眠気のピークが午後2時~午後4時にやってくるのです」

睡眠についての研究を行っている広島大学大学院総合科学研究科の林光緒教授は、こう話す。

「よく『昼食を食べたから午後は眠い』などと言う人もいますが、そういうわけではないのです。

たとえば、1日分の食事を均等に分けて、1時間おきに少しずつ食べてもらうという実験をしてみると、被験者はやはり午後に眠くなっている。

昼食を食べても食べなくても、午後に眠くなるリズムが私たちのなかにあるようなのです」

仮眠の取りすぎは逆効果

前出の坪田氏は、こう指摘する。

「もっとも効果が高いとされるのは、約20~30分の仮眠です。それ以上長く、深い眠りに入ると、今度は夜の眠りを妨害するので逆効果。実際、前に述べたシエスタも45分寝てしまうと心筋梗塞のリスクが減るどころか1・3倍に、認知症も1時間以上の昼寝の習慣がある人はリスクが2倍になるという研究結果もあるのです」

では、どうやって20~30分で目覚める仮眠が取れるのか。横になっては寝すぎるので、イスの背もたれに身を任せたり、机でうつぶせ寝をしてみるとよいという。さらに、前出の林教授は、寝る前にコーヒーなどでカフェインを摂るとよいと話す。