人生の3分の1を占める睡眠時間、あなたは上手に過ごしていますか?

死に至る「睡眠」長生きする「睡眠」 
週刊現代 プロフィール

自分では気がつかないが、いびきも大きくなる。家族に「最近、いびきがうるさいよ」などと言われた場合は要注意だ。

この病にかかると、全身が慢性的な酸素不足に陥り、眠りは浅くなって疲労は回復せず蓄積していく。心不全や脳出血による突然死の、大きな要因の一つとされる。

「ふて寝」で脳梗塞に

また、前出の遠藤氏はこう話す。

「人間には『体内時計』があり、一日の活動のサイクルを司っています。体内時計によって、人間は夜になると体温が下がる。体温が急激に下がる際に、人間は強い眠気を感じるのです。そして、朝になると、コルチゾールというホルモンを分泌させて、体温を上げます。

ストレスホルモンと呼ばれるものの一種で、心身にストレスがかかると多く分泌され、体温や心拍数を上げ、エネルギーを使いやすくする。原始の頃には、狩りをしたり外敵と戦ったりする際に役立ったのでしょう」

ところが、むしゃくしゃした気持ちを抱えたまま、ふて寝するときのように、精神的なストレスをためこみ、コルチゾールが多量に分泌された状態で寝ると、身体は戦闘状態のまま眠るような状況になってしまう。

「体温が下がらないので寝つきが悪く、血圧が下がらないから高血圧になり、毛細血管がやられて脳梗塞、心筋梗塞になりやすくなる」(遠藤氏)

慢性的な睡眠不足の上、風呂に入ってリラックスするでもなく、電気もつけっぱなし、音楽などをかけっぱなしで寝るようなことをつづけると、いつも眠りが浅く、夜中にすぐ目が覚めてしまう。

質の悪い眠りを重ねると、成長ホルモンの分泌を盛んにする深い眠りが不足、体内で免疫細胞が生産されにくくなる。普通なら免疫で排除されるような小さながん細胞が、野放しになり、がんのリスクが高くなる。

「認知症は脳細胞が死んでいく病ですが、眠れないと脳細胞は急速に死んでいきます。高齢者福祉施設で入居者は3日間眠れないと家族の顔を忘れると言われる。認知症は、よく言われる加齢や脳を使わないことだけでなく、不眠によっても加速するのです」(遠藤氏)

ことほど左様に、私たちの健康に大きくかかわっている睡眠。気になるのは「そもそも、どのくらい睡眠をとれば十分なのか」だ。「8時間が理想」とかつては言われたが、どうなのか。

「実は、睡眠は長ければ長いほどいいというわけではないことが、最近わかってきました。むしろ、眠くないときにはベッドに入らないほうがいいくらいなのです」(玉岡氏)

「寝だめ」は無意味

いったい、どういうことなのか。前出の遠藤氏はこう説明する。

「必要な睡眠時間というのは、人によってさまざまなのです。まず、年齢に応じても大きく変化します。たとえば2歳児では12時間、20歳だと8時間ほど眠ることができるのですが、70歳にもなると6時間しか眠ることができない。それを、8時間は寝ないといけないと考えて寝床で頑張っている結果、『なかなか眠れない』とか『早すぎる時間に目が覚めてしまう』と気に病むことになる」